空隙率推定可能な消波ブロック設置シミュレータにおける可視化機能の有用性評価

消波ブロックは,波のエネルギーを減衰させることで沿岸地域を保護するために不可欠な構造物である.これらのブロックの設置作業は,従来熟練した作業者の豊富な経験に依存して行われており,未熟な作業者にとって困難な課題である.本研究では,この課題に対応するため,ゲーム開発エンジンであるUnity 3Dを用いた消波ブロック設置用シミュレータの開発を目的とする.本シミュレータの特徴の一つは,ユーザが容易に確認できるように,消波ブロック設置における設計形状の3Dモデルと許容範囲を可視化できる点である.設置現場での作業では設計目標の表示は難しく,この可視化機能により,防波堤の指定されたエリア内への確実な消波ブロ...

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Published in日本シミュレーション学会論文誌 Vol. 17; no. 2; pp. 32 - 36
Main Authors 岩沢 竜水, 山﨑 達也, 須藤 達美, チュア ハオミン
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本シミュレーション学会 2025
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ISSN1883-5031
1883-5058
DOI10.11308/tjsst.17.32

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Summary:消波ブロックは,波のエネルギーを減衰させることで沿岸地域を保護するために不可欠な構造物である.これらのブロックの設置作業は,従来熟練した作業者の豊富な経験に依存して行われており,未熟な作業者にとって困難な課題である.本研究では,この課題に対応するため,ゲーム開発エンジンであるUnity 3Dを用いた消波ブロック設置用シミュレータの開発を目的とする.本シミュレータの特徴の一つは,ユーザが容易に確認できるように,消波ブロック設置における設計形状の3Dモデルと許容範囲を可視化できる点である.設置現場での作業では設計目標の表示は難しく,この可視化機能により,防波堤の指定されたエリア内への確実な消波ブロック据付が可能となる.本論文では,シミュレータ内で台形で示される設計形状の表示が,作業者の消波ブロック設置精度の向上への寄与に関して評価する.評価実験として,当該分野の専門家2名に三つの異なるシナリオで全てのブロックを設計台形内に配置する作業を実施してもらい,定量的側面とアンケートによる定性的側面により検証を行った.防波堤モデルにおける空隙率,許容範囲外のブロックの数,及び作業完了に要した時間に関する定量的側面では一定の効果が確認された一方,定性的側面では可視化機能の有用性が確認できた.
ISSN:1883-5031
1883-5058
DOI:10.11308/tjsst.17.32