椎間板髄核細胞と脱分化脂肪細胞(DFAT)との共培養による 細胞間相互作用の解析

腰痛の主原因である椎間板変性症は髄核細胞 (Nucleus pulposus cell: NP cell) の不可逆的な変化が原因であり,根本的な治療法は確立していない.近年,椎間板変性症に対し,再生医学的アプローチを用いた研究が行われてきている.成熟脂肪細胞を天井培養することにより得られる脱分化脂肪細胞 (dedifferentiated fat cell:DFAT) は,間葉系幹細胞に類似した多能性細胞である.本研究は,椎間板変性症に対する DFAT を用いた細胞治療の可能性を明らかにするため,NP cell と DFAT を共培養し,細胞間相互作用による各細胞の増殖活性や形質変化を検討し...

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Published in日大医学雑誌 Vol. 78; no. 5; pp. 285 - 293
Main Authors 松本, 太郎, 徳橋, 泰明, 風間, 智彦, 佐久間, 俊行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大学医学会 01.10.2019
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ISSN0029-0424
1884-0779
DOI10.4264/numa.78.5_285

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Summary:腰痛の主原因である椎間板変性症は髄核細胞 (Nucleus pulposus cell: NP cell) の不可逆的な変化が原因であり,根本的な治療法は確立していない.近年,椎間板変性症に対し,再生医学的アプローチを用いた研究が行われてきている.成熟脂肪細胞を天井培養することにより得られる脱分化脂肪細胞 (dedifferentiated fat cell:DFAT) は,間葉系幹細胞に類似した多能性細胞である.本研究は,椎間板変性症に対する DFAT を用いた細胞治療の可能性を明らかにするため,NP cell と DFAT を共培養し,細胞間相互作用による各細胞の増殖活性や形質変化を検討した.その結果,NP cell と DFAT を共培養すると,NP cell は細胞増殖能が高まり,DFAT は軟骨分化マーカー遺伝子の発現が増加し,髄核細胞様細胞へと分化することが明らかになった.DFAT は高齢者でも容易に安全かつ簡便な方法で大量調製が可能であるため,椎間板再生医療用の治療用細胞として有用である可能性が示唆された.
ISSN:0029-0424
1884-0779
DOI:10.4264/numa.78.5_285