認知予備力からみる超高齢社会における新しい生涯観

認知機能は加齢に伴って個人差が大きくなる一方で, 脳構造の加齢による変化だけではその個人差は説明できないことが知られている。この認知機能の加齢に伴う個人差拡大の基盤として, 「認知予備力」の概念が考えられている。認知予備力とは, 生物学的変化である神経病理への耐性として定義されており, 教育年数や職業, 運動, 食事, 社会的活動などの社会的要因の影響によって, 認知機能が維持されることへの説明概念として用いられている。本稿では, 高齢者の認知機能の個人差の原因となる運動や食事に関する身体・健康面のライフスタイルと, 社会的活動に関する精神面のライフスタイルの違いが認知予備力に対してどのような...

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Published in高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 44; no. 2; pp. 132 - 136
Main Author 月浦, 崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本高次脳機能学会 30.06.2024
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ISSN1348-4818
1880-6554
DOI10.2496/hbfr.44.132

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Summary:認知機能は加齢に伴って個人差が大きくなる一方で, 脳構造の加齢による変化だけではその個人差は説明できないことが知られている。この認知機能の加齢に伴う個人差拡大の基盤として, 「認知予備力」の概念が考えられている。認知予備力とは, 生物学的変化である神経病理への耐性として定義されており, 教育年数や職業, 運動, 食事, 社会的活動などの社会的要因の影響によって, 認知機能が維持されることへの説明概念として用いられている。本稿では, 高齢者の認知機能の個人差の原因となる運動や食事に関する身体・健康面のライフスタイルと, 社会的活動に関する精神面のライフスタイルの違いが認知予備力に対してどのような影響を与えるのかについて概観する。認知機能の加齢変化の理解に対して, 認知予備力の概念は重要な示唆を与えてくれる。
ISSN:1348-4818
1880-6554
DOI:10.2496/hbfr.44.132