Myelin-oligodendrocyte glycoprotein (MOG) 抗体関連疾患により重度失語症を呈した 1 例
37 歳, 男性。左利き。7 年前に頭痛を認め, 頭部 MRI で左基底核病変を認め胚細胞腫瘍が疑われ経過観察されていたが, 通院を自己中断した。6 ヵ月前より緩徐に進行する失語症, 右片麻痺が出現し入院した。頭部 MRI では左前側頭葉皮質・白質に T2 高信号病変を認めた。脳生検にて脱髄病変が確認され, 血清 myelin-oligodendrocyte glycoprotein (MOG) 抗体陽性が判明した。免疫療法後, 聴覚的理解, 視覚的理解で若干の改善を認めたが発話表出に変化はなく, 頭部 MRI において左前頭側頭葉の萎縮が残存した。過去の文献では, MOG 抗体関連疾患の免疫...
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Published in | 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) Vol. 44; no. 3; pp. 210 - 217 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本高次脳機能学会
30.09.2024
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Subjects | |
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ISSN | 1348-4818 1880-6554 |
DOI | 10.2496/hbfr.44.210 |
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Summary: | 37 歳, 男性。左利き。7 年前に頭痛を認め, 頭部 MRI で左基底核病変を認め胚細胞腫瘍が疑われ経過観察されていたが, 通院を自己中断した。6 ヵ月前より緩徐に進行する失語症, 右片麻痺が出現し入院した。頭部 MRI では左前側頭葉皮質・白質に T2 高信号病変を認めた。脳生検にて脱髄病変が確認され, 血清 myelin-oligodendrocyte glycoprotein (MOG) 抗体陽性が判明した。免疫療法後, 聴覚的理解, 視覚的理解で若干の改善を認めたが発話表出に変化はなく, 頭部 MRI において左前頭側頭葉の萎縮が残存した。過去の文献では, MOG 抗体関連疾患の免疫療法に対する反応性・予後は良好と報告されている。 しかし, 本例では免疫療法の遅れもあり治療による失語症の改善は不良であった。加えて, 本例では知的能力の低下を認め, 拡大代替コミュニケーションの獲得に難渋した。MOG 抗体関連疾患による失語症症例の報告例は少なく, 十分に議論がされていないため, 今後症例を蓄積することが重要と考えられた。 |
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ISSN: | 1348-4818 1880-6554 |
DOI: | 10.2496/hbfr.44.210 |