格子欠陥を有する鉄基構造材料の磁気シミュレーション

鉄基構造材料内の空孔の状態が,その磁化過程に与える影響を明らかにすることを目的として,Landau-Lifshitz-Gilbert(LLG)方程式によるマイクロマグネティックシミュレーションを行った.空孔を有する磁性体クラスターに外部磁場を印加し,磁化過程の解析を行った結果,空孔無しの結果と比較して,磁気ヒステリシス曲線,磁壁移動,ならびに交換エネルギーと磁気双極子エネルギーに特徴的な変化が見られた.特に,磁壁が空孔を通過する際にその移動方向に対してわずかに伸びる,いわゆるピニング現象が確認されること,またそれは,磁壁が空孔を通過する際の交換エネルギーの低下に起因すると考えられることなどを明...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本シミュレーション学会論文誌 Vol. 17; no. 1; pp. 17 - 24
Main Authors 山口, 克彦, 太田, 悠翔, 松本, 正晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本シミュレーション学会 2025
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1883-5031
1883-5058
DOI10.11308/tjsst.17.17

Cover

More Information
Summary:鉄基構造材料内の空孔の状態が,その磁化過程に与える影響を明らかにすることを目的として,Landau-Lifshitz-Gilbert(LLG)方程式によるマイクロマグネティックシミュレーションを行った.空孔を有する磁性体クラスターに外部磁場を印加し,磁化過程の解析を行った結果,空孔無しの結果と比較して,磁気ヒステリシス曲線,磁壁移動,ならびに交換エネルギーと磁気双極子エネルギーに特徴的な変化が見られた.特に,磁壁が空孔を通過する際にその移動方向に対してわずかに伸びる,いわゆるピニング現象が確認されること,またそれは,磁壁が空孔を通過する際の交換エネルギーの低下に起因すると考えられることなどを明らかにした.さらに,空孔の位置,大きさを変更した結果,エネルギーが変化するタイミングや,変化量に差が生じることなどがわかった.
ISSN:1883-5031
1883-5058
DOI:10.11308/tjsst.17.17