安全を創る 航空分野との比較

航空分野と医療分野は職場環境としての共通点が多い。とくに,安全で効率的な業務の遂行は共通の目標である。航空分野の安全風土は先進的かつ普遍的であり,系統的な安全教育が確立されている。一方の医療分野においての安全は古典的かつ特殊なものとして,今なおその基準となる指標や標準化された指針たるものは存在せず,個人や組織の考えに依存している。航空分野では一般的に認識されているチームワークや確実な安全に対する意識などに代表されるノンテクニカルスキルを,医療従事者も診療技術の1つとして認識し,重篤な転帰に至る前にエラーをコントロールする術をもち合わせる必要がある。そのうえで,不幸にも発生した事故に対して,同様...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 3; pp. 505 - 508
Main Author 小濱, 圭祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2018
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.505

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Summary:航空分野と医療分野は職場環境としての共通点が多い。とくに,安全で効率的な業務の遂行は共通の目標である。航空分野の安全風土は先進的かつ普遍的であり,系統的な安全教育が確立されている。一方の医療分野においての安全は古典的かつ特殊なものとして,今なおその基準となる指標や標準化された指針たるものは存在せず,個人や組織の考えに依存している。航空分野では一般的に認識されているチームワークや確実な安全に対する意識などに代表されるノンテクニカルスキルを,医療従事者も診療技術の1つとして認識し,重篤な転帰に至る前にエラーをコントロールする術をもち合わせる必要がある。そのうえで,不幸にも発生した事故に対して,同様の事故を繰り返さない,類似する事故を防ぐための仕組みを作ることができれば安全意識はより確実なものとなる。事故原因の徹底した分析解明とその結果の効果的な共有は事故再発防止に大変有用なものである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.505