ベルベリンのラット胆汁分泌に及ぼす作用 胆道クリアランスと肝ミクロゾーム機能を中心として
ラット胆汁分泌に及ぼすベルベリンの作用とその機序を,胆汁流量,胆汁中ビリルビンと胆汁酸の排泄量,胆道クリアランス(エリスリトールと庶糖クリアランス)や肝ミクロゾーム機能などの面から検討し,催胆性利胆剤α-hydroxy-l-cyclohexyl butylic acid (O.H.B.A)投与による成績と比較した.ベルベリンを体重100g当り1.8mg静脈内に投与すると,胆汁流量(基礎分泌30分間の平均値7.92-ベルベリン投与後30分間の平均値5.58μl/min)は胆汁酸の胆汁排泄量(0.30-0.13μmoles/min)とともに減少し,逆に胆汁中のビリルビン濃度(3.60-17.90m...
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| Published in | 肝臓 Vol. 22; no. 8; pp. 1128 - 1134 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
01.08.1981
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| Subjects | |
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| ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
| DOI | 10.2957/kanzo.22.1128 |
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| Summary: | ラット胆汁分泌に及ぼすベルベリンの作用とその機序を,胆汁流量,胆汁中ビリルビンと胆汁酸の排泄量,胆道クリアランス(エリスリトールと庶糖クリアランス)や肝ミクロゾーム機能などの面から検討し,催胆性利胆剤α-hydroxy-l-cyclohexyl butylic acid (O.H.B.A)投与による成績と比較した.ベルベリンを体重100g当り1.8mg静脈内に投与すると,胆汁流量(基礎分泌30分間の平均値7.92-ベルベリン投与後30分間の平均値5.58μl/min)は胆汁酸の胆汁排泄量(0.30-0.13μmoles/min)とともに減少し,逆に胆汁中のビリルビン濃度(3.60-17.90mg/dl)とその胆汁排泄量(0.67-2.00μg/min)は増加し,O.H.B.A.投与後の胆汁流量(6.50-12.73μl/min)と胆汁酸胆汁排泄量(0.30-0.55umoles/min)の著るしい増加とは明らかに異った.ベルベリンによるこのような変化は投与量に依存してみられ,静脈内投与で最も顕著で,皮下や胃内投与で同効果を得るにはさらに大量のベルベリン投与が必要であった.ベルベリンによる胆汁流量の減少は,胆汁酸非依存性胆汁流量の低下に基づく毛細胆管起源性利胆の低下によることが示唆され,O.H.B.A.投与でみられた毛細胆管胆汁流量と胆汁再吸収の増加とは対照的な実験結果であった.さらに肝ミクロゾーム機能に及ぼすベルベリンの影響を観察したところ,ミクロゾーム蛋白量やCytochrome P-450量には明らかな変化が認められなかったのに反して,UDP-glucuronyl transferase (UDPGT)活性が増加する傾向を示した. |
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| ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
| DOI: | 10.2957/kanzo.22.1128 |