訪問型介護予防事業としてのロコモーショントレーニングの実行可能性

目的:訪問型介護予防事業としてのロコモーショントレーニング(以下ロコトレ)の実行可能性を明らかにすることを目的とした.方法:介護保険における運動器の二次予防対象者のうちの通所型介護予防事業への不参加者246人を対象に,ロコトレの参加者を募った.参加者に対し,初回調査で,聞き取り調査,開眼片足立ち時間測定及びロコトレ指導を行った.ロコトレは,参加者が自宅で,開眼片足立ち左右1分ずつ,スクワット5~6回を1セットとし,原則3セット行うこととした.初回調査後,3カ月間のロコトレ実施期間中,定期的な電話連絡(ロコモコール)による状況確認をした.最終調査で聞き取り調査及び開眼片足立ち時間測定を実施した....

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 49; no. 4; pp. 476 - 482
Main Authors 安村, 誠司, 中野, 匡子, 木村, みどり, 伊藤, 博元, 藤野, 圭司, 橋本, 万里, 中村, 耕三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 2012
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.49.476

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Summary:目的:訪問型介護予防事業としてのロコモーショントレーニング(以下ロコトレ)の実行可能性を明らかにすることを目的とした.方法:介護保険における運動器の二次予防対象者のうちの通所型介護予防事業への不参加者246人を対象に,ロコトレの参加者を募った.参加者に対し,初回調査で,聞き取り調査,開眼片足立ち時間測定及びロコトレ指導を行った.ロコトレは,参加者が自宅で,開眼片足立ち左右1分ずつ,スクワット5~6回を1セットとし,原則3セット行うこととした.初回調査後,3カ月間のロコトレ実施期間中,定期的な電話連絡(ロコモコール)による状況確認をした.最終調査で聞き取り調査及び開眼片足立ち時間測定を実施した.結果:参加者は60人(男性15人,女性45人)で,対象者(246人)の24.4%であった.運動器の二次予防対象者313人のうち,市が実施する通所型介護予防事業に参加したのは67人(21.4%)であった.ロコトレの実施により,通所型介護予防事業またはロコトレへ参加した者は127人(40.6%)となり,通所型介護予防事業のみの参加率(21.4%)と比較して19.2%増加した.3カ月間ロコトレを継続した継続群は55人(男性13人,女性42人),継続率は91.7%であった.最終調査時の開眼片足立ち時間は,男性と女性いずれも初回調査時(男性13.9±16.1秒,女性26.7±28.7秒)と比較して有意に延長していた(男性16.2±17.7秒 p<0.05,女性57.2±79.7秒 p<0.01).年齢別の比較でも,前期高齢者と後期高齢者ともに,最終調査時の開眼片足立ち時間が初回調査時(前期高齢者34.4±31.0秒,後期高齢者17.7±22.3秒)と比較して有意に延長していた(前期高齢者62.2±67.9秒 p<0.01,後期高齢者39.2±73.8秒 p<0.01).結論:今回実施した訪問型介護予防事業としてのロコトレは,継続しやすい運動プログラムであること,身体機能についても一定の効果があることが認められ,従来の通所型介護予防事業では対応できなかった対象者への,有効かつ実行可能性の高いプログラムである可能性が示された.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.49.476