植込み型人工心臓の現状 連続流型補助人工心臓による重症心不全治療のパラダイムシフト
末期重症心不全患者の血液循環を人工的に代行する補助人工心臓(left ventricular assist system; LVAS)の起源は古く, 1935年まで遡ることができる. 近年, 欧米において, 従来の拍動型に替わって連続流ポンプ(軸流型・遠心型)を用いた次世代型補助人工心臓治療が急速に発展・普及している. 米国のLVASレジストリ(INTERMACS)の第3次報告1)によると, 2008年度より急速に拍動型から連続流型へシフトし, 2010年には連続流型が99%を占めるにいたった(図1). 植え込み後1年生存率は, 拍動型67%に対し, 連続流型83%, 2年生存率は拍動型45%...
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Published in | 心臓 Vol. 43; no. 7; pp. 845 - 846 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2011
日本心臓財団 |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.43.845 |
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Summary: | 末期重症心不全患者の血液循環を人工的に代行する補助人工心臓(left ventricular assist system; LVAS)の起源は古く, 1935年まで遡ることができる. 近年, 欧米において, 従来の拍動型に替わって連続流ポンプ(軸流型・遠心型)を用いた次世代型補助人工心臓治療が急速に発展・普及している. 米国のLVASレジストリ(INTERMACS)の第3次報告1)によると, 2008年度より急速に拍動型から連続流型へシフトし, 2010年には連続流型が99%を占めるにいたった(図1). 植え込み後1年生存率は, 拍動型67%に対し, 連続流型83%, 2年生存率は拍動型45%に対し, 連続流型75%と著明に改善した(図2). 連続流型LVASはすでに5,000例以上に植え込まれており, また, より補助能力の高い遠心型LVASの治験も現在複数施行されている. 本邦においては, 連続流型LVAS: EVAHEART, Dura-Heart, Jarvik 2000, HeartMate IIの治験が, それぞれ良好な成績のもとに終了し, 連続流型LVASが生命予後・QOLを改善することが明らかとなった. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.43.845 |