ハンセン病の治療における薬剤耐性 国内ハンセン病療養所における再発例での検討

国内での再発性ハンセン病患者14例における薬剤耐性について検討した. 過去の多様な治療歴を薬剤耐性獲得関連遺伝子領域における変異(以下, 遺伝子変異)の検索結果と照合した. 皮膚生検組織よりらい菌DNAを調製し, DDS (diaphenylsulfone), RFP (rifampicin), OFLX (ofloxacin), の3薬に対する遺伝子変異を検索した. 薬物の使用歴がある場合, DDSでは11例中10例, RFPでは11例中9例, OFLXでは3例中2例に遺伝子変異を確認した. またこのうち7例では, 2剤以上の薬物に遺伝子変異を認めた. 多くの症例で, 1回の投与量が少なく,...

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Published in医療 Vol. 56; no. 6; pp. 331 - 337
Main Authors 並里, まさ子, 柏原, 嘉子, 松岡, 正典, 東, 正明, 小川, 秀興
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.06.2002
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.56.331

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Summary:国内での再発性ハンセン病患者14例における薬剤耐性について検討した. 過去の多様な治療歴を薬剤耐性獲得関連遺伝子領域における変異(以下, 遺伝子変異)の検索結果と照合した. 皮膚生検組織よりらい菌DNAを調製し, DDS (diaphenylsulfone), RFP (rifampicin), OFLX (ofloxacin), の3薬に対する遺伝子変異を検索した. 薬物の使用歴がある場合, DDSでは11例中10例, RFPでは11例中9例, OFLXでは3例中2例に遺伝子変異を確認した. またこのうち7例では, 2剤以上の薬物に遺伝子変異を認めた. 多くの症例で, 1回の投与量が少なく, 単剤または単剤に近い投与が長期間続いていた. 一方RFPやOFLXの使用歴がない6例では, それぞれに対する遺伝子変異を認めなかった. 遺伝子検索による薬剤耐性検査は, 信頼性の高い検査方法と考えられる. 国内の再発例では治療方針をたてる上で, また新患者の減少傾向が見られない多発国では, 今後のハンセン病コントロールを考える上で, 大きく貢献すると思われる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.56.331