低真空走査電子顕微鏡を用いた維管束の観察実験

維管束の立体的な観察実験は,維管束が光合成や呼吸などの生化学反応に関係する水や養分が植物体内を移動する管であることを,学習者に理解させるうえで重要と考える.そこで,近年普及してきた低真空走査電子顕微鏡(低真空SEM)の維管束の観察実験への活用を,大学の生物学の授業において試みた.双子葉草本植物数種を候補として観察材料を検討した結果,センニンソウの茎が,典型的な双子葉草本植物の維管束の配列を低真空SEMで明瞭に観察でき,カミソリの刃による横断面,縦断面試料の作製も容易であることから,観察材料として適当であることが明らかとなった.そこで,センニンソウの茎を材料として,観察実験の授業実践を行ったとこ...

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Published in生物教育 Vol. 41; no. 2; pp. 57 - 64
Main Authors 大場, 孝信, 五百川, 裕, 小川, 茂, 大悟法, 滋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物教育学会 2001
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ISSN0287-119X
DOI10.24718/jjbe.41.2_57

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Summary:維管束の立体的な観察実験は,維管束が光合成や呼吸などの生化学反応に関係する水や養分が植物体内を移動する管であることを,学習者に理解させるうえで重要と考える.そこで,近年普及してきた低真空走査電子顕微鏡(低真空SEM)の維管束の観察実験への活用を,大学の生物学の授業において試みた.双子葉草本植物数種を候補として観察材料を検討した結果,センニンソウの茎が,典型的な双子葉草本植物の維管束の配列を低真空SEMで明瞭に観察でき,カミソリの刃による横断面,縦断面試料の作製も容易であることから,観察材料として適当であることが明らかとなった.そこで,センニンソウの茎を材料として,観察実験の授業実践を行ったところ,学生達は短時間で低真空SEMの基本的な操作方法を習得し,維管束を構成する細胞どうしの立体構造を観察できた.本研究によって,低真空SEMが維管束の観察実験の授業において有効に活用できることが示された.
ISSN:0287-119X
DOI:10.24718/jjbe.41.2_57