ミャンマー人女性の自宅分娩選択に関係する要因:ミャンマー人口保健調査2015-2016の二次分析

目的  ミャンマー連邦共和国における妊産婦死亡率及び新生児死亡率は依然として高い。同国では専門技能を持つ分娩介助者による分娩は比較的広く行われているものの、未だに施設分娩率は低い状態である。自宅分娩での緊急時の医療処置には限界があり、母子の命が危機にさらされることもある。本研究では、二次データを用い、ミャンマー人女性の自宅分娩選択に関係する要因を分析した。方法  本研究は、2015-16年のミャンマー人口保健調査における、調査時点から5年以内に分娩を行った15歳から49歳の女性3,856名のデータを用いた。ロジスティック回帰モデルを作成し、調整済みオッズ比と95%信頼区間を計算した。結果  ミ...

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Published in国際保健医療 Vol. 34; no. 2; pp. 83 - 92
Main Authors 牧之内, 純子, Mason, Linda
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本国際保健医療学会 20.06.2019
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ISSN0917-6543
DOI10.11197/jaih.34.83

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Summary:目的  ミャンマー連邦共和国における妊産婦死亡率及び新生児死亡率は依然として高い。同国では専門技能を持つ分娩介助者による分娩は比較的広く行われているものの、未だに施設分娩率は低い状態である。自宅分娩での緊急時の医療処置には限界があり、母子の命が危機にさらされることもある。本研究では、二次データを用い、ミャンマー人女性の自宅分娩選択に関係する要因を分析した。方法  本研究は、2015-16年のミャンマー人口保健調査における、調査時点から5年以内に分娩を行った15歳から49歳の女性3,856名のデータを用いた。ロジスティック回帰モデルを作成し、調整済みオッズ比と95%信頼区間を計算した。結果  ミャンマーでは62%の女性が自宅分娩を選択していた。妊婦健診を一度も受診しなかった人は4回以上受診した人と比べ6.18(95% CI: 4.17-9.16)倍、経済的に最も貧しい20%に属する人々は最も豊かな20%と比べ4.46(3.19-6.22)倍、第四子または第五子の出産は第一子と比べ2.94(2.28-3.80)倍多く自宅分娩を選択する傾向があることが分かった。また、居住地、女性の教育水準、女性または夫の職業も分娩場所選択に関係していることが分かった。一方、妊娠時の年齢、夫の教育水準、女性のマスメディア利用度、女性の意思決定レベルと、自宅分娩との関連性はいずれも見られなかった。結論  本研究では、ミャンマーにおいて施設分娩を推奨する上でターゲットとすべき層を特定した。施設分娩率を上げるため、ひいては母子のより良い健康状態を確保するため、妊婦健診を含めた保健サービスへのアクセシビリティを向上させることが求められている。
ISSN:0917-6543
DOI:10.11197/jaih.34.83