開業医診療情報データベースを用いた尋常性乾癬の治療実態調査(DEFENDER study)から考える今後の外用療法

目的:尋常性乾癬の治療に新しい選択肢が増えているため,日本の実臨床における尋常性乾癬の治療実態を調査し,今後の外用療法のあり方を検討する.方法:日本全国の開業医を主な対象とした実臨床での診療情報データベースを用い,2021年6月1日および2023年12月1日のデータにおいて,尋常性乾癬と診断されて外用療法,全身療法および光線療法の治療を受けている患者を調査対象とし,診療科別(全科,皮膚科,皮膚科以外)に治療内容を検討するとともに,2年半の経過でみられた変化を検討した.結果: 調査対象は2021年6月1日に10,687例,2023年12月1日に25,140例となり,皮膚科以外でも尋常性乾癬は10...

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Published in日本臨床皮膚科医会雑誌 Vol. 42; no. 1; pp. 53 - 65
Main Authors 東山, 眞里, 島田, 辰彦, 菅井, 順一, 安部, 正敏, 伊藤, 寿啓, 津田, 雄一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床皮膚科医会 2025
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ISSN1349-7758
1882-272X
DOI10.3812/jocd.42.53

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Summary:目的:尋常性乾癬の治療に新しい選択肢が増えているため,日本の実臨床における尋常性乾癬の治療実態を調査し,今後の外用療法のあり方を検討する.方法:日本全国の開業医を主な対象とした実臨床での診療情報データベースを用い,2021年6月1日および2023年12月1日のデータにおいて,尋常性乾癬と診断されて外用療法,全身療法および光線療法の治療を受けている患者を調査対象とし,診療科別(全科,皮膚科,皮膚科以外)に治療内容を検討するとともに,2年半の経過でみられた変化を検討した.結果: 調査対象は2021年6月1日に10,687例,2023年12月1日に25,140例となり,皮膚科以外でも尋常性乾癬は10%程度治療されていた.実臨床における尋常性乾癬治療は外用療法が主で,最も多く処方される外用薬はステロイドであったが,単独処方やステロイド複数処方の他,活性型ビタミンD3製剤との併用処方が2023年12月においても多いことが明らかとなった.次いで多かった配合外用薬は2年半の経過で処方増加がみられた.選択される剤形としては軟膏が多く,配合外用薬に登場した新しい剤形のフォームの処方も増加していた.皮膚科は皮膚科以外に比べて,従来から併用されているステロイドや活性型ビタミンD3製剤に加え,配合外用薬による併用治療の割合も高かった.結論:今回の調査結果より,日本の実臨床の外用療法において,副作用の懸念があるステロイドや治療アドヒアランスの低下による効果不十分などが課題である活性型ビタミンD3製剤は,単独治療や併用治療が未だに多いことが問題点と考えられた.一方で,これらの問題点を解決できるために,外用療法の第一選択薬として推奨されている配合外用薬は,新しい剤形が加わったため,患者それぞれの病変やライフスタイルに応じた剤形の選択が,皮膚科においてみられ始めている.従って,これら最近の治療動向より今後の外用療法は,個々の患者の良好な治療アドヒアランスの維持を期待して,3剤形が揃ったCal/BDPをはじめとする配合外用薬を中心に,より最適な薬剤・剤形が選択されることが望ましいと考える.
ISSN:1349-7758
1882-272X
DOI:10.3812/jocd.42.53