機能性身体疾患への新しい治療法の開発に向けた身体心理療法アプローチの可能性
本研究は,機能性身体症候群(Functional somatic syndrome: FSS)患者向け集団療法の開発にむけての研究である.今回実施した集団Somatic Movement Therapy(以下集団SMT)は,心地よく体を動かしながら身体感覚への気づき深め,心身の機能回復を目的とする身体心理療法プログラムである.今回参加者は,週1回,全6回のプログラムに参加した.評価は,自律神経機能としてCoefficient of variation of r-r interval(CVr-r),心理指標として日本版Profile of Mood States2短縮版(POMS2短縮版),一般...
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| Published in | 関西医科大学雑誌 Vol. 75; pp. 21 - 26 |
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| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
関西医科大学医学会
2024
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0022-8400 2185-3851 |
| DOI | 10.5361/jkmu.75.21 |
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| Summary: | 本研究は,機能性身体症候群(Functional somatic syndrome: FSS)患者向け集団療法の開発にむけての研究である.今回実施した集団Somatic Movement Therapy(以下集団SMT)は,心地よく体を動かしながら身体感覚への気づき深め,心身の機能回復を目的とする身体心理療法プログラムである.今回参加者は,週1回,全6回のプログラムに参加した.評価は,自律神経機能としてCoefficient of variation of r-r interval(CVr-r),心理指標として日本版Profile of Mood States2短縮版(POMS2短縮版),一般性セルフ・エフィカシー(自己効力感)尺度(GSES),Body Awareness Scale日本語版(BAS)を用い,介入前後(初回―最終回)の変化量を比較検討した.その結果,安静時CVr-r(P<0.05),POMSにおける「活気―活力(VA)」(P<0.05),「友好(F)(P<0.05),GSES(P<0.01),BASにおける「立位歩行の身体感覚」(P<0.01),「身体感覚への意識」(P<0.01),「総合body awareness」(P<0.05)において有意な正の変化がえられた.本プログラムでは,患者は身体で感じる“快・不快”の身体感覚に意識をむけ,“快”を促す主体的な3種類のmovementを実施した.その結果,総合body awarenessの有意な高まりが生じ,身体制御感覚から自己効力感を高めることに繋がった.また,集団療法では自己の身体感覚を他者と共有し受容しあう.この経験が参加者同士の正の相互作用を生み,友好を高め安心できる体験が活動性の向上や安静時自律神経機能の回復に役立つと考えられた. |
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| ISSN: | 0022-8400 2185-3851 |
| DOI: | 10.5361/jkmu.75.21 |