Over View 房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)―温故知新

発作性上室頻拍で最も多い房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)は,薬物治療の時代には,房室結節内の二重伝導路を興奮旋回する頻拍と一般的には理解されていた.その後,高周波カテーテルアブレーション(RFCA)時代になって,房室結節周囲の心房筋を含む遅伝導路と速伝導路間の興奮旋回路がわかってきた.通常型(Slow-Fast型)は,冠静脈洞と三尖弁輪間を房室結節方向に走行する遅伝導路への通電で根治できる.非通常型としてFast-Slow型,Slow-Slow型があるが,多重伝導路を含めるとAVNRTには多くの種類やvariationがあって多様である.頻拍性不整脈は,解剖学的知見や診断機器の進歩とも...

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Bibliographic Details
Published in心電図 Vol. 33; no. 4; pp. 337 - 352
Main Author 深谷, 眞彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2014
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.33.337

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Summary:発作性上室頻拍で最も多い房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)は,薬物治療の時代には,房室結節内の二重伝導路を興奮旋回する頻拍と一般的には理解されていた.その後,高周波カテーテルアブレーション(RFCA)時代になって,房室結節周囲の心房筋を含む遅伝導路と速伝導路間の興奮旋回路がわかってきた.通常型(Slow-Fast型)は,冠静脈洞と三尖弁輪間を房室結節方向に走行する遅伝導路への通電で根治できる.非通常型としてFast-Slow型,Slow-Slow型があるが,多重伝導路を含めるとAVNRTには多くの種類やvariationがあって多様である.頻拍性不整脈は,解剖学的知見や診断機器の進歩とも相まって,3次元的な不整脈像として実際的に把握されようとしている.しかし,AVNRTの興奮旋回路の実像は今でもわかりにくい.房室結節領域の複雑な解剖学的構造などから,各AVNRTの興奮旋回路や回路構成成分の詳細には,今も問題点が少なくない.RFCA治療成績をより完全にするためにも,古くからの問題に取り組み,さらに知見を広げることは必要と考える.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.33.337