天山石の研磨工程で石材表面に同時形成された薄膜のシンクロトロン放射光による解析

国産石材の1つである天山石は,数十年経過しても,経年劣化はほとんどなく,耐候性に優れているという特徴を有している.しかし,その理由は,これまで明らかにされてこなかった.そこで,複数の研磨材で鏡面仕上げされた研摩面と未研磨面を,レ-ザ顕微鏡およびEPMAにより分析した結果,研磨面に薄膜の存在が確認できた.さらに,シンクロトロン放射光を用いて解析した結果,この薄膜状物質は,非晶質シリカで,膜厚は約1μmであることが明らかになった.すなわち,研磨されながら,同時に石材表面に薄膜が形成されるという全く新しい事実を見出した.すなわち,この非晶質シリカ薄膜の存在が,天山石表面のコ-ティング剤として働き,優...

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Published in砥粒加工学会誌 Vol. 68; no. 2; pp. 88 - 89
Main Authors 立山, 博, 房安, 貴弘, 馬込, 栄輔, 田中, 義人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 砥粒加工学会 01.02.2024
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ISSN0914-2703
1880-7534
DOI10.11420/jsat.68.88

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Summary:国産石材の1つである天山石は,数十年経過しても,経年劣化はほとんどなく,耐候性に優れているという特徴を有している.しかし,その理由は,これまで明らかにされてこなかった.そこで,複数の研磨材で鏡面仕上げされた研摩面と未研磨面を,レ-ザ顕微鏡およびEPMAにより分析した結果,研磨面に薄膜の存在が確認できた.さらに,シンクロトロン放射光を用いて解析した結果,この薄膜状物質は,非晶質シリカで,膜厚は約1μmであることが明らかになった.すなわち,研磨されながら,同時に石材表面に薄膜が形成されるという全く新しい事実を見出した.すなわち,この非晶質シリカ薄膜の存在が,天山石表面のコ-ティング剤として働き,優れた耐候性が保持されている一因になっていると推定した.
ISSN:0914-2703
1880-7534
DOI:10.11420/jsat.68.88