粘液腫様性僧帽弁疾患の犬における術中輸液量と術後うっ血性心不全の発生状況の調査
本研究では、非心臓外科手術を実施したMMVD罹患犬における手術麻酔中の輸液管理の状況と、術後のうっ血性心不全(肺水腫)の発生状況について、後ろ向き調査を行った。MMVD罹患犬はAmerican College of Veterinary Internal Medicine (ACVIM) consensus guidelineに基づいてstage B1(B1群:109例)、stage B2およびC(B2・C群:22例)に重症度分類し、MMVD非罹患犬(132例)を対照群として比較した。結果、いずれの群でも術後の肺水腫の発生は認められなかった。また、B1群と対照群の間では、麻酔中の輸液総量(ml...
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Published in | 日本獣医麻酔外科学雑誌 Vol. 56; no. 1; pp. 1 - 7 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
2025
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Subjects | |
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ISSN | 2189-6623 2189-6631 |
DOI | 10.2327/jjvas.56.1 |
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Summary: | 本研究では、非心臓外科手術を実施したMMVD罹患犬における手術麻酔中の輸液管理の状況と、術後のうっ血性心不全(肺水腫)の発生状況について、後ろ向き調査を行った。MMVD罹患犬はAmerican College of Veterinary Internal Medicine (ACVIM) consensus guidelineに基づいてstage B1(B1群:109例)、stage B2およびC(B2・C群:22例)に重症度分類し、MMVD非罹患犬(132例)を対照群として比較した。結果、いずれの群でも術後の肺水腫の発生は認められなかった。また、B1群と対照群の間では、麻酔中の輸液総量(ml/kg)および利尿薬を投与された症例の割合に有意な差は認められなかった(平均値 ± 標準偏差:21.5 ± 9.9 vs. 23.5 ± 10.2、2/109 vs. 0/132)。一方、B2・C群は対照群に比べて、麻酔中の輸液総量(ml/kg)は有意に少なかったが(平均値 ± 標準偏差:14.2 ± 13.3 vs. 23.5 ± 10.2)、容量過負荷が疑われて利尿薬を投与された症例の割合は有意に多かった(5/22 vs. 0/132)。本研究の結果より、MMVDのstage B1の犬においては、MMVD非罹患犬と同様の輸液管理でも、術後にうっ血性心不全が生じるリスクは低いと考えられた。Stage B2およびCの犬においては、輸液の制限と、術後の注意深いモニターと利尿薬の使用が、うっ血性心不全の予防に寄与した可能性が考えられた。 |
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ISSN: | 2189-6623 2189-6631 |
DOI: | 10.2327/jjvas.56.1 |