空撮画像解析と隠れマルコフモデルによるクズ (Pueraria lobata (Willd.) Ohwi) の空間動態の評価

無人航空機(UAV)画像に基づく雑草群落の空間動態のモデリングは、時間的・空間的に高い解像度で拡大の過程を評価するのに有用である。隠れマルコフモデルは対象に応じて柔軟に改変でき、誤分類の確率を明示的に組み込むことができるため、占有範囲の遷移を記述するのに適している。本研究は、空撮画像分類とサイト占有モデルによってクズの空間動態のパラメータを推定し、刈り払い後の拡大を評価することを目的とした。河川敷のクズ群落のUAV画像を取得し、教師あり分類によりグリッド(0.25 m2)ごとクズの占有状態を判別した。階層モデルは、分類の不確実性を表すモデルと各グリッドの占有状態の遷移を表すモデルで構成した。パ...

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Published inシステム農学 Vol. 40; no. 3; pp. 33 - 44
Main Authors 岩本, 啓己, 安田, 泰輔, 渡邉, 修
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published システム農学会 25.11.2024
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ISSN0913-7548
2189-0560
DOI10.14962/jass.40.3_33

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Summary:無人航空機(UAV)画像に基づく雑草群落の空間動態のモデリングは、時間的・空間的に高い解像度で拡大の過程を評価するのに有用である。隠れマルコフモデルは対象に応じて柔軟に改変でき、誤分類の確率を明示的に組み込むことができるため、占有範囲の遷移を記述するのに適している。本研究は、空撮画像分類とサイト占有モデルによってクズの空間動態のパラメータを推定し、刈り払い後の拡大を評価することを目的とした。河川敷のクズ群落のUAV画像を取得し、教師あり分類によりグリッド(0.25 m2)ごとクズの占有状態を判別した。階層モデルは、分類の不確実性を表すモデルと各グリッドの占有状態の遷移を表すモデルで構成した。パラメータの事後分布をマルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法で推定したところ、拡大速度は7月の刈り払い後が8月の刈り払い後よりも高かった。この結果は、8月以降の刈り払い後の占有範囲の回復は比較的緩やかであることを示唆した。画像解析と階層的モデリングの組み合わせにより、管理スケールでの雑草の空間動態をシミュレートし、広範囲にわたる侵入雑草の影響を減らすために管理を最適化することができると考えられる。
ISSN:0913-7548
2189-0560
DOI:10.14962/jass.40.3_33