アズキに対するホウ素・亜鉛・マンガン・鉄の施用が子実収量および収量構成要素に及ぼす影響

アズキに対する微量要素の増収効果を明らかにするため,灰色台地土である江別,淡色火山性土である帯広の2地点において,「エリモ167」と「きたろまん」に対して,ホウ素・亜鉛・マンガン (試験1) および亜鉛・鉄 (試験2) を含む肥料の施用試験を2カ年にわたり実施した.2地点ともに栽培前土壌における熱水可溶性ホウ素,可溶性亜鉛,交換性鉄の含有率は土壌診断基準値以下または下限値に近い含有率であった.無処理区に対する増収効果は,試験1においてFTE区 (く溶性ホウ素,マンガン),アグリエース区 (く溶性ホウ素,亜鉛,マンガン),水溶性区 (水溶性ホウ素,亜鉛,マンガン) それぞれ両試験地,両年,両品種...

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Published in日本作物学会紀事 Vol. 94; no. 3; pp. 301 - 311
Main Authors 北畠 拓也, 志賀 聡, 黒瀨 大地, 梶田 路津子, 松本 奈緒子, 飛谷 淳一, 義平 大樹, 佐々木 壱, 松井 俊樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作物学会 05.07.2025
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ISSN0011-1848
1349-0990
DOI10.1626/jcs.94.301

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Summary:アズキに対する微量要素の増収効果を明らかにするため,灰色台地土である江別,淡色火山性土である帯広の2地点において,「エリモ167」と「きたろまん」に対して,ホウ素・亜鉛・マンガン (試験1) および亜鉛・鉄 (試験2) を含む肥料の施用試験を2カ年にわたり実施した.2地点ともに栽培前土壌における熱水可溶性ホウ素,可溶性亜鉛,交換性鉄の含有率は土壌診断基準値以下または下限値に近い含有率であった.無処理区に対する増収効果は,試験1においてFTE区 (く溶性ホウ素,マンガン),アグリエース区 (く溶性ホウ素,亜鉛,マンガン),水溶性区 (水溶性ホウ素,亜鉛,マンガン) それぞれ両試験地,両年,両品種平均で19%,13%,8%であった.資材中の亜鉛の有無による収量の差がみられないこと,土壌中のマンガン含有率から,増収効果はホウ素の吸収量の増加に由来すると考えられた.試験2における増収効果は土壌施用区 (く溶性鉄,亜鉛),葉面施用区 (水溶性鉄,亜鉛) それぞれ両年平均で20%,38%であった.葉面施用区が土壌施用区に比べて増収したのは,亜鉛および鉄の吸収利用率が高かったためと推察される.収穫後における土壌中ホウ素・亜鉛・鉄の増加量は最大でも0.2 ppm,1 ppm,5 ppm程度と極めて少量に留まった.両試験を通してホウ素360 g/10 a,亜鉛900 g/10 a程度の施用はアズキの増収に有効である可能性が示唆された.
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.94.301