岩手県中央部の水田転換畑での現地実証試験においてプラウ耕で栽培したトウモロコシの播種精度,砕土率,子実収量および収量関連形質の解析

東北地域の水田転換畑での子実トウモロコシ栽培では,高速作業体系であるプラウ耕の導入が適期作業や面積拡大において有効である.そこで,本研究では岩手県中央部の水田転換畑での現地実証試験においてプラウ耕で栽培した子実トウモロコシについて,栽植密度7000本10 a—1を得るための播種機の設定,収量800 kg 10 a—1を得るための収量関連形質と砕土率および苗立ち条件を解析した.苗立ち後の栽植密度は播種機で設定した栽植密度より3カ年平均で13%少なく,栽植密度7000本10 a—1を得るには播種機での設定播種密度を7000本10 a—1より約5%高める必要があると考えられた.収量800 kg 10...

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Published in日本作物学会紀事 Vol. 94; no. 3; pp. 252 - 262
Main Authors 嶝野 英子, 篠遠 善哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作物学会 05.07.2025
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ISSN0011-1848
1349-0990
DOI10.1626/jcs.94.252

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Summary:東北地域の水田転換畑での子実トウモロコシ栽培では,高速作業体系であるプラウ耕の導入が適期作業や面積拡大において有効である.そこで,本研究では岩手県中央部の水田転換畑での現地実証試験においてプラウ耕で栽培した子実トウモロコシについて,栽植密度7000本10 a—1を得るための播種機の設定,収量800 kg 10 a—1を得るための収量関連形質と砕土率および苗立ち条件を解析した.苗立ち後の栽植密度は播種機で設定した栽植密度より3カ年平均で13%少なく,栽植密度7000本10 a—1を得るには播種機での設定播種密度を7000本10 a—1より約5%高める必要があると考えられた.収量800 kg 10 a—1は排水良好圃場のみで得られ,排水不良圃場では得られなかった.排水良好圃場において全刈収量800 kg 10 a—1を得るために必要な坪刈収量を900 g m—2に設定すると,粒数3161粒 m—2が必要であり,粒数3161粒 m—2には苗立ち率91%の確保が求められ,苗立ち率91%の確保には砕土率66%以上の確保が必要であった.以上の結果,水田転換畑においてプラウ耕で栽培した子実トウモロコシで目標収量800 kg 10 a—1を得るには,排水対策を徹底して排水良好な圃場の確保を大前提として,粒数を確保するために,苗立ち率と砕土率の確保が必要であることが示された.さらに,適切な栽植密度を得るためには播種機の設定栽植密度を目標とする栽植密度より高める必要性が明らかとなった.
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.94.252