子宮留膿腫と肝膿瘍を合併した結腸憩室炎によるS状結腸子宮瘻の1例

症例は77歳,女性。発熱と白色帯下を主訴に救急外来を受診した。炎症反応上昇とCT検査より子宮留膿腫と診断し,ドレナージ,抗菌薬投与で改善した。2ヵ月後,全身倦怠感と発熱のために受診した。肝逸脱酵素の上昇と造影CT検査で肝膿瘍と診断し入院となった。画像上S状結腸子宮瘻が疑われ,子宮留膿腫と肝膿瘍の原因と考えられた。肝膿瘍のドレナージ後に全身状態の改善が得られ,局所の炎症コントロール目的に腹腔鏡下S状結腸人工肛門造設術を施行した。術後3ヵ月でS状結腸子宮瘻の根治術を施行した。術中所見では炎症によりS状結腸と子宮は一塊となっており,S状結腸切除術+子宮全摘出術+両側付属器切除術を施行した。術後経過は...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 45; no. 1; pp. 22 - 25
Main Authors 松田, 直樹, 梶, 祐貴, 久保, 孝文, 太田, 徹哉, 國末, 浩範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2025
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.45.22

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Summary:症例は77歳,女性。発熱と白色帯下を主訴に救急外来を受診した。炎症反応上昇とCT検査より子宮留膿腫と診断し,ドレナージ,抗菌薬投与で改善した。2ヵ月後,全身倦怠感と発熱のために受診した。肝逸脱酵素の上昇と造影CT検査で肝膿瘍と診断し入院となった。画像上S状結腸子宮瘻が疑われ,子宮留膿腫と肝膿瘍の原因と考えられた。肝膿瘍のドレナージ後に全身状態の改善が得られ,局所の炎症コントロール目的に腹腔鏡下S状結腸人工肛門造設術を施行した。術後3ヵ月でS状結腸子宮瘻の根治術を施行した。術中所見では炎症によりS状結腸と子宮は一塊となっており,S状結腸切除術+子宮全摘出術+両側付属器切除術を施行した。術後経過は良好であった。病理組織検査では瘻孔形成はS状結腸憩室穿通によるものと診断された。結腸憩室炎は骨盤内臓器と瘻孔を形成することがあるが,子宮との瘻孔形成はまれであるため,文献的考察を交えて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.45.22