肝疾患時の糖代謝異常に関する研究 インスリン受容体による検討

肝疾患において高率にみられている耐糖能およびインスリン反応の異常についてインスリン受容体の面より解析を試みた. 正常を対照に,急性肝炎急性期,慢性肝炎活動性および非活動性,肝硬変に,100g-OGTT時のインスリン値から末梢インスリン活性(A)を求め,インスリン感性試験からインスリン感性指数(ISI)を又末梢血単核球の125I-インスリン特異結合率などの測定を行った.Aはすべての肝疾患で有意の低下を認め,ISIも慢性肝炎非活動性以外はすべて有意の低下がみられた.さらに125I-インスリン特異結合率は肝疾患ですべて有意の低下をみ,これはAおよびISIとの間に有意の相関を示した. すなわち肝疾患で...

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Published in肝臓 Vol. 22; no. 2; pp. 173 - 178
Main Authors 平海, 良雄, 瀧野, 辰郎, 金綱, 隆弘, 葛谷, 覚元, 牧野, 邦雄, 高森, 成之, 中林, 富雄, 千丸, 博司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.02.1981
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.22.173

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Summary:肝疾患において高率にみられている耐糖能およびインスリン反応の異常についてインスリン受容体の面より解析を試みた. 正常を対照に,急性肝炎急性期,慢性肝炎活動性および非活動性,肝硬変に,100g-OGTT時のインスリン値から末梢インスリン活性(A)を求め,インスリン感性試験からインスリン感性指数(ISI)を又末梢血単核球の125I-インスリン特異結合率などの測定を行った.Aはすべての肝疾患で有意の低下を認め,ISIも慢性肝炎非活動性以外はすべて有意の低下がみられた.さらに125I-インスリン特異結合率は肝疾患ですべて有意の低下をみ,これはAおよびISIとの間に有意の相関を示した. すなわち肝疾患では内因性,外因性インスリンに対する感受性の低下を示したが,125I-インスリン特異結合かちみたインスリン受容体の異常もその一因にあげることができる.これは肝疾患における耐糖能異常の病因を考察する上に重要である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.22.173