III.早期大腸癌の診断と治療―病理の立場から

近年内視鏡機器の進歩に伴い,早期大腸癌の診断と治療のためのより正確な診断が可能となった.また,診断的治療としては完全摘除検体から,病理学的な諸因子によりその後の治療戦略を考えることも重要である.そのような診断から治療に至る一連の流れの中で適切な標本の取り扱いが重要であり,pSM癌の追加治療の判断基準項目の一つとして簇出,脈管侵襲や低分化巣とともにSM1かSM2かといった壁深達度診断の精度管理も大切である.また近年はSSA/Pという前癌病変の存在が明らかにされ,その病理診断基準,あるいは潰瘍性大腸炎罹患者数の増加に伴い潰瘍性大腸炎関連腫瘍(UC associated neoplasia,IBD...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 65; no. 10; pp. 808 - 814
Main Authors 五十嵐, 良典, 加藤, 広行, 光永, 篤, 藤盛, 孝博, 岡本, 陽祐, 田形, 倫子, 木村, 隆輔, 市川, 一仁, 山口, 岳史, 冨田, 茂樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2012
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.65.808

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Summary:近年内視鏡機器の進歩に伴い,早期大腸癌の診断と治療のためのより正確な診断が可能となった.また,診断的治療としては完全摘除検体から,病理学的な諸因子によりその後の治療戦略を考えることも重要である.そのような診断から治療に至る一連の流れの中で適切な標本の取り扱いが重要であり,pSM癌の追加治療の判断基準項目の一つとして簇出,脈管侵襲や低分化巣とともにSM1かSM2かといった壁深達度診断の精度管理も大切である.また近年はSSA/Pという前癌病変の存在が明らかにされ,その病理診断基準,あるいは潰瘍性大腸炎罹患者数の増加に伴い潰瘍性大腸炎関連腫瘍(UC associated neoplasia,IBD cancer)の増加が予測され,その病理診断基準の整理が必要である.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.65.808