頸損者における炭酸ガス再呼吸および体位変換時の呼吸機能の検討

頸損者10例の呼吸機能を,炭酸ガス再呼吸法および気道閉塞時吸息圧測定法により検索し,ことに,体位変換時の呼吸パターン変化を観察することによって,呼吸運動を支配する神経機構の働きに考察を加えた. その結果は,頸損者における炭酸ガス反応性(ΔVE-PCO2)は健常者より低下しているが,体位変換による影響はなかった.頸損者では,体位変換時に横隔膜の運動効率や呼吸器系の弾性率が変化し,それに対応して,座位では呼吸数を増加させ,仰臥位では一回換気量を増大させていた.これは,呼吸運動の仕事量を最小限に整える操作であり,横隔膜の固有感覚受容器の関与が推察された....

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Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 20; no. 4; pp. 216 - 225
Main Author 大橋, 正洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本リハビリテーション医学会 18.07.1983
日本リハビリテーション医学会
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
Subjects
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ISSN0034-351X
1880-778X
DOI10.2490/jjrm1963.20.216

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Summary:頸損者10例の呼吸機能を,炭酸ガス再呼吸法および気道閉塞時吸息圧測定法により検索し,ことに,体位変換時の呼吸パターン変化を観察することによって,呼吸運動を支配する神経機構の働きに考察を加えた. その結果は,頸損者における炭酸ガス反応性(ΔVE-PCO2)は健常者より低下しているが,体位変換による影響はなかった.頸損者では,体位変換時に横隔膜の運動効率や呼吸器系の弾性率が変化し,それに対応して,座位では呼吸数を増加させ,仰臥位では一回換気量を増大させていた.これは,呼吸運動の仕事量を最小限に整える操作であり,横隔膜の固有感覚受容器の関与が推察された.
ISSN:0034-351X
1880-778X
DOI:10.2490/jjrm1963.20.216