バーチャルリアリティ映像に対する知覚と行為

バーチャルリアリティ(VR)環境は,まるで映像の中に自分が存在するかのような高い没入感を提供する.しかしながら,VR映像を三次元的に知覚するために寄与する感覚情報は,実環境での感覚情報とは一部異なる.果たして人工的に作られたVR環境においても,知覚と行為を成立させる情報は創発されるのかという問いは,生態心理学において重要な問いである.本稿ではこの問いについて考える一助となるべく,2つのトピックを紹介する.第1に,2024年に雑誌Ecological Psychologyに発表されたBaggs et al.の主張を概観し,彼らが論じた,VR映像がもつ没入感と相互作用性ついてまとめる.第2に,移動...

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Published in生態心理学研究 Vol. 17; no. 1; pp. 49 - 59
Main Author 樋口 貴広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生態心理学会 01.07.2025
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ISSN1349-0443
2434-012X
DOI10.24807/jep.17.1_49

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Summary:バーチャルリアリティ(VR)環境は,まるで映像の中に自分が存在するかのような高い没入感を提供する.しかしながら,VR映像を三次元的に知覚するために寄与する感覚情報は,実環境での感覚情報とは一部異なる.果たして人工的に作られたVR環境においても,知覚と行為を成立させる情報は創発されるのかという問いは,生態心理学において重要な問いである.本稿ではこの問いについて考える一助となるべく,2つのトピックを紹介する.第1に,2024年に雑誌Ecological Psychologyに発表されたBaggs et al.の主張を概観し,彼らが論じた,VR映像がもつ没入感と相互作用性ついてまとめる.第2に,移動行動に関する知覚と行為の研究において,VR映像がどのように活用されているのかについて概観する.これらの知見に基づき,VR映像がもつ没入感と相互作用性について私見を述べる.
ISSN:1349-0443
2434-012X
DOI:10.24807/jep.17.1_49