IgG4関連疾患─ステロイド治療の限界と新規治療

IgG4関連疾患とは血清IgG4高値とIgG4陽性形質細胞の浸潤,線維化による臓器の腫瘤性,結節性,肥厚性病変を呈する全身性慢性疾患である.二大好発病変であるミクリッツ病相当の涙腺・唾液腺病変と自己免疫性膵炎に加え,胆管,腎,後腹膜・大動脈周囲,肺などに時間的多発性をもって病変が出現するため,原因不明の腫瘤性病変をみた場合に常に鑑別に含める必要がある.治療はグルココルチコイド(GC)が第一選択とされるが,初回寛解導入時に使用される中等量以上のGCにより,大腿骨頭壊死を生じること,また減量中止の過程でしばしば再燃を生じ,長期投与を余儀なくされることから,骨粗鬆症や感染症などのGCによる副作用への...

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Published in臨床リウマチ Vol. 31; no. 1; pp. 64 - 67
Main Author 高橋, 裕樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床リウマチ学会 30.03.2019
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ISSN0914-8760
2189-0595
DOI10.14961/cra.31.64

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Summary:IgG4関連疾患とは血清IgG4高値とIgG4陽性形質細胞の浸潤,線維化による臓器の腫瘤性,結節性,肥厚性病変を呈する全身性慢性疾患である.二大好発病変であるミクリッツ病相当の涙腺・唾液腺病変と自己免疫性膵炎に加え,胆管,腎,後腹膜・大動脈周囲,肺などに時間的多発性をもって病変が出現するため,原因不明の腫瘤性病変をみた場合に常に鑑別に含める必要がある.治療はグルココルチコイド(GC)が第一選択とされるが,初回寛解導入時に使用される中等量以上のGCにより,大腿骨頭壊死を生じること,また減量中止の過程でしばしば再燃を生じ,長期投与を余儀なくされることから,骨粗鬆症や感染症などのGCによる副作用への対応が必要である. IgG4関連疾患の病因は不明であるが,病態が明らかになりつつあり,関与する免疫担当細胞や免疫関連分子を標的とした治療の導入も期待される.特にB細胞を標的とした抗CD20抗体や抗CD19抗体の良好な成績が報告されている.
ISSN:0914-8760
2189-0595
DOI:10.14961/cra.31.64