細菌検査を利用した陰部洗浄用ボトル取り扱いの統一化の試み

当院においてベッド上排泄患者に対してはプラスチック製の陰部洗浄ボトル (陰洗ボトル) を使用して洗浄などの陰部ケアを行っている. しかし, このボトルの取り扱い方法については各病棟の判断に委ねられており, 院内で統一されていなかった. 今回, 陰洗ボトルによる感染伝播リスクの低減を目的に各病棟の使用現況を調査し, 洗浄後のボトルについては細菌学的検査を実施した. それらの結果をふまえ「陰洗ボトルの取り扱い方法の院内基準」の統一化を試みた. 使用現況把握のために使用方法, 洗浄方法, 保管方法の3点について聞き取り及びラウンドによる調査を行った. 細菌学的検査としては使用後のボトルを, 「洗浄の...

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Published in環境感染 Vol. 21; no. 4; pp. 269 - 271
Main Authors 竹浪, 裕見子, 土橋, 直子, 一ノ瀬, 直樹, 芝崎, 健志, 笹田, 真紀子, 小貫, 三枝子, 南山, 絹江, 内田, 寛, 高橋, 百合子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本環境感染学会 20.12.2006
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ISSN0918-3337
1884-2429
DOI10.11550/jsei1986.21.269

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Summary:当院においてベッド上排泄患者に対してはプラスチック製の陰部洗浄ボトル (陰洗ボトル) を使用して洗浄などの陰部ケアを行っている. しかし, このボトルの取り扱い方法については各病棟の判断に委ねられており, 院内で統一されていなかった. 今回, 陰洗ボトルによる感染伝播リスクの低減を目的に各病棟の使用現況を調査し, 洗浄後のボトルについては細菌学的検査を実施した. それらの結果をふまえ「陰洗ボトルの取り扱い方法の院内基準」の統一化を試みた. 使用現況把握のために使用方法, 洗浄方法, 保管方法の3点について聞き取り及びラウンドによる調査を行った. 細菌学的検査としては使用後のボトルを, 「洗浄のみ」4例と「洗浄後消毒薬を使用」2例の2群に分けて細菌学的検査を行った. その結果, 使用方法は病棟により「患者個別」と「数名の患者での共有」に分かれていた. また, 保管方法において多くの病棟でボトルの乾燥が不十分であった. 細菌学的検査としては, 拭き取り検査による培養検査を行った結果, 「洗浄のみ」のボトル4例中全てからFlavobacterium species (200-500cfu/swab) が, 4例中2例からAcinetobacter species (100-200cfu/swab) が検出されたが, 「洗浄後消毒薬を使用」のボトルから細菌は検出されなかった. 一般的にノンクリティカルな器具は十分に乾燥することで消毒の必要はないとされているが, 今回の陰洗ボトルについては, 形状や乾燥に要する時間など, 使用する現状を考慮した場合, 消毒薬を使用することの有効性はあると考えられた.
ISSN:0918-3337
1884-2429
DOI:10.11550/jsei1986.21.269