孤発性Creutzfeldt-Jakob diseaseの1例 終末期の気管切開と人工呼吸器をどうすべきか

症例は, 78歳, 女性. ミオクローヌスをともない急速に進行する痴呆に続き, 無動性無言となった. 脳波で周期性同期性放電がみられ, 頭部MRI拡散強調法で大脳皮質, 基底核に高信号をみとめた. 髄液では14-3-3蛋白が検出され, Creutzfeldt-Jakob病(CJD)と診断した. 本例はその後重症肺炎を合併し, 家族が胃ろう造設と気管切開および人口呼吸器による延命を希望された. 十分なインフォームド・コンセントの下に家族と話し合い, 再度検討した結果, 高カロリー輸液は行うも, これらの侵襲的処置は行わなかった. CJD患者の終末期医療のあり方については, 今なお未解決の問題が多...

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Published in医療 Vol. 55; no. 12; pp. 597 - 600
Main Authors 松下, 隆哉, 山尾, 哲, 乾, 俊夫, 足立, 克仁, 北口, 浩史, 馬木, 良文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.12.2001
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.55.597

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Summary:症例は, 78歳, 女性. ミオクローヌスをともない急速に進行する痴呆に続き, 無動性無言となった. 脳波で周期性同期性放電がみられ, 頭部MRI拡散強調法で大脳皮質, 基底核に高信号をみとめた. 髄液では14-3-3蛋白が検出され, Creutzfeldt-Jakob病(CJD)と診断した. 本例はその後重症肺炎を合併し, 家族が胃ろう造設と気管切開および人口呼吸器による延命を希望された. 十分なインフォームド・コンセントの下に家族と話し合い, 再度検討した結果, 高カロリー輸液は行うも, これらの侵襲的処置は行わなかった. CJD患者の終末期医療のあり方については, 今なお未解決の問題が多い. 家族に十分良く説明し理解を得た上で協議し決定されることになる. 人工呼吸など従来のような延命治療の選択が最良とは考えられない. 一方, 本疾患であることを理由に終末期延命治療を拒否することは難しい. したがって正確な疾患情報を家族と共有し協議することが必要である. われわれは, 常に本症の新知識を得て, 確実な感染予防対策を実践し診療に当ることが重要であろう.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.55.597