働き盛り世代における高尿酸血症の実態と心血管リスク 第2 報:高尿酸血症の発症過程,推移と治療効果

背景:働き盛り世代における高尿酸血症の発症過程には不明な点が少なくない. 対象と方法:①東武鉄道株式会社社員のうち2010 年度の尿酸値が未治療で正常かつ2010 年から2020 年までの定期健康診断データが比較可能であった2813 例(高尿酸発症関連因子解析群),② 2010 年度,2020 年度とも7.0 mg/dL 以上の322 例(高尿酸持続群),③ 2010 年度7.0 mg/dL 以上かつ2020 年度正常の432 例(高尿酸改善群),の3 コホートを用い,各種心血管リスク指標値の推移ならびに相互の関連性を検討した. 結果:(1)2020 年度尿酸治療中または未治療高尿酸血症をエン...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床生理学会雑誌 Vol. 53; no. 5; pp. 125 - 131
Main Authors 伊藤, 紳晃, 加藤, 和代, 佐藤, 美恵, 鬼木, 貴子, 加藤, 貴雄, 今井, 夏実, 西村, 芳子, 斎藤, 幸恵, 加藤, 賢, 生沼, 幸子, 川村, 梨穂, 佐藤, 恭子, 千島, 功子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床生理学会 01.12.2023
Online AccessGet full text
ISSN0286-7052
2435-1695
DOI10.34363/jocp.53.5_125

Cover

More Information
Summary:背景:働き盛り世代における高尿酸血症の発症過程には不明な点が少なくない. 対象と方法:①東武鉄道株式会社社員のうち2010 年度の尿酸値が未治療で正常かつ2010 年から2020 年までの定期健康診断データが比較可能であった2813 例(高尿酸発症関連因子解析群),② 2010 年度,2020 年度とも7.0 mg/dL 以上の322 例(高尿酸持続群),③ 2010 年度7.0 mg/dL 以上かつ2020 年度正常の432 例(高尿酸改善群),の3 コホートを用い,各種心血管リスク指標値の推移ならびに相互の関連性を検討した. 結果:(1)2020 年度尿酸治療中または未治療高尿酸血症をエンドポイントとすると,多変量解析にて10 年前の「肥満」,「高血圧」,「慢性腎臓病」のオッズ比が有意に高く,「糖尿病」のオッズ比が有意に低かった.(2)高尿酸持続群ではeGFR が有意に低下していた.(3)改善群ではeGFR の低下はなく,血圧およびLDL-C が有意に低下していた. 結論: 高尿酸血症の発症・進展過程を分析した結果,高尿酸血症の発症およびその持続が慢性腎臓病に結び付くこと,肥満や高血圧と関連があること,高尿酸血症に対する早期の治療介入によってこれら生活習慣病関連因子の増悪を防止できる可能性があることが明らかになった.
ISSN:0286-7052
2435-1695
DOI:10.34363/jocp.53.5_125