基本文型に潜む困難 : 第二言語としての英語に於ける主語+動詞の語順について

英語自動詞の基本文型である主語+動詞の語順は, 時として学習者によって非文法的と見なされ, その使用が避けられることが知られている (Hirakawa, 1995;Kellerman, 1978;Yip, 1995).Kellerman (1979) はこの現象を自他両方の用法を持つ動詞に限られるものと見てMcCawley (1978) の会話の含意理論に基づく語用論的な説明を提案した.しかしながら, 彼の説明は理論的問題点を含むのみならず, この現象の全体像を捉えきっているとも言い難い.なぜなら, 自動詞用法しか持たない動詞の中にもこの現象の影響を受けるものがあるからである.また, 一見その...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inSecond Language Vol. 1; pp. 45 - 61
Main Author 大下, 浩之
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本第二言語習得学会 01.05.2002
Online AccessGet full text
ISSN1347-278X
2187-0047
DOI10.11431/secondlanguage2002.1.0_45

Cover

More Information
Summary:英語自動詞の基本文型である主語+動詞の語順は, 時として学習者によって非文法的と見なされ, その使用が避けられることが知られている (Hirakawa, 1995;Kellerman, 1978;Yip, 1995).Kellerman (1979) はこの現象を自他両方の用法を持つ動詞に限られるものと見てMcCawley (1978) の会話の含意理論に基づく語用論的な説明を提案した.しかしながら, 彼の説明は理論的問題点を含むのみならず, この現象の全体像を捉えきっているとも言い難い.なぜなら, 自動詞用法しか持たない動詞の中にもこの現象の影響を受けるものがあるからである.また, 一見その類似性が疑われるにも関らず, この現象を今まで広く研究されてきた「回避」と同様なものと見なすことも難しい (Kamimoto, etal, 1992;Kleinmann1977;Schachter, 1974;Seliger, 1989).本稿では, 問題の現象が第二言語として英語の自動詞を習得する際の根本的な問題点と関っていること, それ故, 非対格動詞の受動化などとの関連において研究されるべきものであること, を論じる (Balcom, 1997;Hirakawa1995;Oshita, 2000b;Yip1995;Zobl, 1989).
ISSN:1347-278X
2187-0047
DOI:10.11431/secondlanguage2002.1.0_45