電解水利用による学校給食の衛生管理

学校給食では、1996(平成8)年、腸管出血性大腸菌O157による食中毒事件(以下、O157食中毒事件)が多発し、不幸にして死者まで発生した。文部科学省(当時は文部省、以下文科省)は猶予ならざる事態を真摯に受け止め、それまでの衛生管理を根本的に見直す取り組みを開始した。 原因究明のため、食中毒が発生した調理場へ専門家を派遣し現地調査を行い、調理過程の問題点など共通的に見られた食中毒の発生原因等の特徴をまとめ、報告書を作成配布して注意喚起を繰り返した。翌年の1997(平成9)年4月には、衛生管理の改善充実のための指針となる「学校給食衛生管理の基準」を策定した。その後も、調理場における実践指導や研...

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Published in機能水研究 Vol. 11; no. 2; pp. 1 - 10
Main Author 金田, 雅代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本機能水学会 15.06.2016
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ISSN1348-2432
2759-551X
DOI10.69185/jfw.11.2_1

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Summary:学校給食では、1996(平成8)年、腸管出血性大腸菌O157による食中毒事件(以下、O157食中毒事件)が多発し、不幸にして死者まで発生した。文部科学省(当時は文部省、以下文科省)は猶予ならざる事態を真摯に受け止め、それまでの衛生管理を根本的に見直す取り組みを開始した。 原因究明のため、食中毒が発生した調理場へ専門家を派遣し現地調査を行い、調理過程の問題点など共通的に見られた食中毒の発生原因等の特徴をまとめ、報告書を作成配布して注意喚起を繰り返した。翌年の1997(平成9)年4月には、衛生管理の改善充実のための指針となる「学校給食衛生管理の基準」を策定した。その後も、調理場における実践指導や研修の強化を図るためのマニュアルを作成し配布するなどの対策を実行して今日に至っている。 その結果、学校給食を原因とする食中毒は激減し、1999(平成11)年以降の年間発生件数は数件で推移しており、2014(平成26)年の発生件数は2件(調理場以外が原因)有症者211名であった。 2008(平成20)年、栄養教諭制度や食育基本法の成立を踏まえて学校給食法が大改正された。法律の目的では「学校における食育の推進」を明確に位置付け、目標では「学校給食を活用した食に関する実践的な指導を行うこと」とした。安全で安心な学校給食を実施するため「学校給食衛生管理基準」も大臣告示となり第9条に位置付けられた。 本稿では、O157食中毒事件以降、どのようにして学校給食の衛生管理に取り組んできたか、その経緯と電解水利用による学校給食の衛生管理について紹介する。
ISSN:1348-2432
2759-551X
DOI:10.69185/jfw.11.2_1