座位獲得以前の乳児の自発的な手の動きを契機とした養育者の言動:育児記録における検討

座位獲得頃までの乳児は,どのような他者との関係性の中で,自発的に手を動かしているのだろうか.本研究では,乳児が手を動かすことに伴って起こる,乳児と養育者とのかかわりのヴァリエーションを描き出すために,縦断的な日誌及び動画記録における手の動きに関する動画を抽出し,養育者の言動について分類を検討した.養育者の言動には,「行為と対象を結び付ける言葉がけ」「対象に語らせる言葉がけ」「配置換え」等,10の言動のパターンが見出された.最も多く生起していた「行為と対象を結び付ける言葉がけ」は,乳児が手にした対象を見ているか否かにかかわらず,養育者により言葉がかけられていた.本研究では,乳児が手を動かすことが...

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Published in生態心理学研究 Vol. 16; no. 1; pp. 3 - 28
Main Authors 青井, 郁美, 野中, 哲士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生態心理学会 01.05.2024
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ISSN1349-0443
2434-012X
DOI10.24807/jep.16.1_3

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Summary:座位獲得頃までの乳児は,どのような他者との関係性の中で,自発的に手を動かしているのだろうか.本研究では,乳児が手を動かすことに伴って起こる,乳児と養育者とのかかわりのヴァリエーションを描き出すために,縦断的な日誌及び動画記録における手の動きに関する動画を抽出し,養育者の言動について分類を検討した.養育者の言動には,「行為と対象を結び付ける言葉がけ」「対象に語らせる言葉がけ」「配置換え」等,10の言動のパターンが見出された.最も多く生起していた「行為と対象を結び付ける言葉がけ」は,乳児が手にした対象を見ているか否かにかかわらず,養育者により言葉がかけられていた.本研究では,乳児が手を動かすことが,養育者の言動や養育者と乳児間の相互行為の豊かな機会をもたらしていることを事例とともに報告した.
ISSN:1349-0443
2434-012X
DOI:10.24807/jep.16.1_3