入院中の高齢患者のケアに関わる ボランティア活動の文献レビュー

背景・目的:諸外国では入院中の高齢患者のケアにボランティアが参画し,その効果が報告されている.本稿は病院で高齢患者のケアに関わるボランティア活動の文献レビューにより,第一にボランティア養成と導入について海外の現状を確認する.第二に日本の病院で高齢患者のケアに関わるボランティア導入に向けた資料を提供する. 方法:PubMedを用い検索期間は1946~2023年とした.文献抽出はPRISMA-ScRを参考に適格基準を設定し論文を抽出した. 結果:6文献をレビューした.オーストラリアの4文献は2009年に患者のケアにボランティアを導入し10年かけ普及した過程を示した.認知症者と家族を支援するコミュニ...

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Published in日本臨床看護マネジメント学会誌 Vol. 6; pp. 8 - 18
Main Authors 長谷川 美智子, 小松 光代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床看護マネジメント学会 2025
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ISSN2435-2691
DOI10.34403/jsnam.6.0_8

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Summary:背景・目的:諸外国では入院中の高齢患者のケアにボランティアが参画し,その効果が報告されている.本稿は病院で高齢患者のケアに関わるボランティア活動の文献レビューにより,第一にボランティア養成と導入について海外の現状を確認する.第二に日本の病院で高齢患者のケアに関わるボランティア導入に向けた資料を提供する. 方法:PubMedを用い検索期間は1946~2023年とした.文献抽出はPRISMA-ScRを参考に適格基準を設定し論文を抽出した. 結果:6文献をレビューした.オーストラリアの4文献は2009年に患者のケアにボランティアを導入し10年かけ普及した過程を示した.認知症者と家族を支援するコミュニティ組織と開発したケアプログラムでは,ボランティアが患者と対話して作成したプロフィールが医療者と共有しケアに活かされた.またボランティアが患者の苦痛を早期に察知し間接的に緩和する役割を担っていた.他2件の文献レビューは,歩行支援,転倒予防,栄養改善に関わるボランティア活動を報告していた. 考察:病院のボランティア活動の特徴として,高齢患者の疾患や症状に伴う苦痛への配慮や対応方法をケアプログラムに組み込む必要性が示唆された.またボランティアが患者のプロフィールを医療者と共有する事で,患者の生活史に基づくケア提供の可能性が示された. 結論:病院でボランティアが患者の生活史に着目する仕組みを整えることは,患者への効果的なアプローチとなることが期待される.
ISSN:2435-2691
DOI:10.34403/jsnam.6.0_8