尿路結石症の発生原因に関する検討 (第7報) アンケート調査による通院中止後の再発率の検討
上部尿路結石症患者の通院中止後の再発率を検討した. 通院中止後1年以上を経過した約1,400名を対象に手紙によるアンケート調査を行い, 502名 (約35%) から回答を得た. 全症例の平均通院期間は9.5ヵ月であったが, 初診時3ヵ月以内に178名 (35.5%), 1年以内に381名 (75.9%) が通院を中止していた. また薬物治療を開始した症例では1年以内に45.4%, 2年以内に76.3%が通院を中止し, 他院に引き続き通院している症例は3.4%に過ぎなかった. またアンケート調査後の受診で3名 (3.9%) に無症状の腎結石が発見された. カルシウム (Ca) 含有結石で, 基礎...
Saved in:
Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 78; no. 1; pp. 133 - 143 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
1987
The Japanese Urological Association 社団法人日本泌尿器科学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5287 1884-7110 |
DOI | 10.5980/jpnjurol1928.78.1_133 |
Cover
Summary: | 上部尿路結石症患者の通院中止後の再発率を検討した. 通院中止後1年以上を経過した約1,400名を対象に手紙によるアンケート調査を行い, 502名 (約35%) から回答を得た. 全症例の平均通院期間は9.5ヵ月であったが, 初診時3ヵ月以内に178名 (35.5%), 1年以内に381名 (75.9%) が通院を中止していた. また薬物治療を開始した症例では1年以内に45.4%, 2年以内に76.3%が通院を中止し, 他院に引き続き通院している症例は3.4%に過ぎなかった. またアンケート調査後の受診で3名 (3.9%) に無症状の腎結石が発見された. カルシウム (Ca) 含有結石で, 基礎疾患のない437名を対象に結石再発率, 患者再発率を検討したところ, 初診からアンケート調査時までの平均54.8ヵ月の期間中に101名 (23.1%) に再発を認め, 結石再発率, 患者再発率はそれぞれ0.116±0.017 SE stone/year, 5.06% patients/year であった. なお再発症例の78.2%がアンケート調査ではじめて再発が明らかにされた. 通院中止後の再発率を通院中のそれと比較すると, 結石再発率には差を認めないが, 患者再発率は50%以下に低下した. 通院中に行われていた治療法別に通院中止後の再発率を検討したところ, 結石再発率では, 内服と食事指導の併用群が最も低く, 食事指導単独群, 内服治療単独群, 無治療群の順に高くなり, 個々の症例に応じた食事指導が通院中止後の再発予防に大きく貢献していることが明らかになった. 職業別の再発率を比較すると, いわゆるブルーカラーのほうがホワイトカラーより再発率が高く, この結果は結石の発生と再発の原因が必ずしも同一でないことを示唆していると考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.78.1_133 |