腹部超音波集検 新しい検診法としての意義および検診法確立に向けての課題

当センターでは, 1983年8月から肝・胆・膵・腎・脾・総胆管を対象とした腹部超音波スクリーニングを行なっており, 1986年6月までの人間ドック初回受診者数は9,803名であった。一方, 1984年3月から1986年6月までの熊本県下23地域・15職域の腹部超音波集検初回受診者数は11,558名で, 現在超音波検診車を利用した巡回検診を行なっている。 びまん性肝疾患を除く有所見者率は32.2%で, 加令とともに増大し, 女性より男性に高率であった。発見される主な疾患は胆嚢結石, 胆嚢ポリープ, 肝嚢胞, 肝腫瘍, 腎嚢胞, 腎腫瘍, 腎結石などである。癌症例も人間ドックで23例 (発見率0....

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 36; no. 1; pp. 22 - 28
Main Authors 山下, 直美, 西小野, 昭人, 長野, 勝廣, 小柳, 敦子, 玉永, 正博, 小山, 和作, 山下, 耕一, 三原, 修一, 木場, 博幸, 成松, 隆一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 01.05.1987
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.36.22

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Summary:当センターでは, 1983年8月から肝・胆・膵・腎・脾・総胆管を対象とした腹部超音波スクリーニングを行なっており, 1986年6月までの人間ドック初回受診者数は9,803名であった。一方, 1984年3月から1986年6月までの熊本県下23地域・15職域の腹部超音波集検初回受診者数は11,558名で, 現在超音波検診車を利用した巡回検診を行なっている。 びまん性肝疾患を除く有所見者率は32.2%で, 加令とともに増大し, 女性より男性に高率であった。発見される主な疾患は胆嚢結石, 胆嚢ポリープ, 肝嚢胞, 肝腫瘍, 腎嚢胞, 腎腫瘍, 腎結石などである。癌症例も人間ドックで23例 (発見率0.23%), 集検14例 (0.12%), 計37例が発見され, 24例に根治手術が施行された。 腹部超音波検査の検診への導入により, 従来の検診では発見できなかった潜在疾病が, 無症状・無所見の時期に多数発見され, この検査の検診の場における有用性が示唆された。特に胆嚢癌, 肝臓癌, 腎臓癌など癌発見の成果はめざましく, 早期癌・初期癌発見のための癌検診としても意義ある検査法と考える。 また, 今後集団検診として確立するためには, 技術者の養成, 適切な事後処理 (再検・精検・治療等) や十分な経過観察が行なえる体制の整備, 受診者教育などが必要と思われた。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.36.22