肝星細胞にかんする研究ことに131IAAによる網内系機能検査について

網内系の機能には異物の呑食能,呑食された異物の代謝能,さらに,異物に対する抗体産生に及ぼす機能などの,種々の機能があるが,呑食された異物の代謝能を追求する方法の一つとして131I aggregated albumin (131IAA)を用いる方法がある.本法はHalpern, Biozzi, Benacerrafなどによつて開発された方法で,必ずしも新しい検査法とはいえないが, 131IAAの調製が困難なため余り一般には用いられていなかつた.しかし,最近本邦でも肝シンチグラム用として131IAAが市販されているので,われわれは肝シンチ用として市販されている131IAAによる網内系機能検査を試み...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 59; no. 10; pp. 1076 - 1083
Main Authors 洞口, 有成, 山形, 敞一, 金子, 良太郎, 大内, 栄悦, 三浦, 清美, 山家, 令史, 富岡, 誠進
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1970
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.59.1076

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Summary:網内系の機能には異物の呑食能,呑食された異物の代謝能,さらに,異物に対する抗体産生に及ぼす機能などの,種々の機能があるが,呑食された異物の代謝能を追求する方法の一つとして131I aggregated albumin (131IAA)を用いる方法がある.本法はHalpern, Biozzi, Benacerrafなどによつて開発された方法で,必ずしも新しい検査法とはいえないが, 131IAAの調製が困難なため余り一般には用いられていなかつた.しかし,最近本邦でも肝シンチグラム用として131IAAが市販されているので,われわれは肝シンチ用として市販されている131IAAによる網内系機能検査を試みた.その成績によれば,静注された131IAAは肝星細胞を主とする網内系細胞に急速に取り込まれるが,細胞内で蛋白分解作用をうけ,遊離した131Iは再び血中に放出される.したがつて,静注後一定時間後の血漿をSephadexゲル濾過法によつて蛋白結合性131Iとイオン131Iとに分画し,イオン131Iと蛋白結合性131Iの比(Free 131I/Bound 131I)をもつて,網内系細胞の131IAA代謝能の検討を試みた.その結果Free 131I/Bound 131I (F/B比)は正常対照群ではほぼ一定の値を示すが,肝硬変症,ヘパトーマでは著しい低値を示し,諸種癌患者でも低下する例が多い.しかし,F/B比と肝機能検査,肝シンチグラム,血清蛋白,コンゴーレッド指数との間には有意の相関は認められなかつた.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.59.1076