ルテチウム-177標識ソマトスタチンアナログ (177Lu-DOTA-TATE) 注射液を用いた核医学治療に係る医療実態調査報告書

要旨:神経内分泌腫瘍に対する放射性同位元素による核医学治療に用いられるルテチウム-177標識ソマトスタチンアナログ(177Lu-DOTA-TATE)注射液(以下, 本剤)は, 2020年8月31日に薬事申請されており, 薬事承認されたのちに臨床使用されることが予想される. 現在, 核医学治療で加療中の患者を継続的に管理するための診療報酬として, 放射性同位元素内用療法管理料が設定されているが, 本剤を用いた核医学治療に対しても同様の管理料を設定する必要がある. 日本核医学会は, 本治療の医療実態を調査するため, 本剤の治験を実施した医療機関を対象に, 質問票を用いた調査を行った. 調査の結果,...

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Published in核医学 Vol. 58; no. 1; pp. 39 - 46
Main Authors 加藤克彦, 中村壮一, 的場義典, 絹谷清剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本核医学会 2021
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ISSN0022-7854

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Summary:要旨:神経内分泌腫瘍に対する放射性同位元素による核医学治療に用いられるルテチウム-177標識ソマトスタチンアナログ(177Lu-DOTA-TATE)注射液(以下, 本剤)は, 2020年8月31日に薬事申請されており, 薬事承認されたのちに臨床使用されることが予想される. 現在, 核医学治療で加療中の患者を継続的に管理するための診療報酬として, 放射性同位元素内用療法管理料が設定されているが, 本剤を用いた核医学治療に対しても同様の管理料を設定する必要がある. 日本核医学会は, 本治療の医療実態を調査するため, 本剤の治験を実施した医療機関を対象に, 質問票を用いた調査を行った. 調査の結果, 外科系学会社会保険委員会連合生体検査試案第7.2版に基づく1症例あたりの治療管理に必要な費用は, 1,912,404円と求められた. 本剤は, 8週間ごとに4回の投与を行うこととされており, 1回投与あたりの当該治療管理料は478,101円, 診療報酬としては1症例・1回投与あたり47,810点(投与ごとに計4回算定可)が妥当であると考えられた. また, 放射線治療病室以外の一般病室を入院に用いた場合に, 適切な防護措置および汚染防止措置を講じるためには, 1症例あたり649,030円が必要と求められた. これは1日あたりの入院基本料の加算に相当する費用として81,129円となり, 入院基本料の加算に相当する診療報酬としては1症例で1日あたり8,113点が妥当であると考えられた.
ISSN:0022-7854