ミスマッチ陰性電位を指標とした時間統合窓の基本特性の検討

聴覚情報は時間統合窓 (temporal window of integration: TWI) に基づいた統合処理を経て,聴覚記憶に一次保持される。TWI が刺激オンセットごとに形成されるか否かを検討するため,刺激間間隔(ISI)の変化 (22 ms) に伴うミスマッチ陰性電位 (MMN) を記録した。標準刺激は持続時間22 ms の3 つのトーンバースト群 ( 無音部は22 ms) によって構成された。標準刺激のISI を異なるブロックで操作した (66, 88, 110, 132, および198 ms)。もしTWI が各オンセットに対して形成されるなら,標準刺激のISI が長い条件でもM...

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Published in生理心理学と精神生理学 Vol. 29; no. 1; pp. 5 - 12
Main Authors 片山, 順一, 八木, 昭宏, 溝部, 光希, 箕浦, 菜々子, 玉越, 勢治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理心理学会 30.04.2011
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ISSN0289-2405
2185-551X
DOI10.5674/jjppp.1102si

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Summary:聴覚情報は時間統合窓 (temporal window of integration: TWI) に基づいた統合処理を経て,聴覚記憶に一次保持される。TWI が刺激オンセットごとに形成されるか否かを検討するため,刺激間間隔(ISI)の変化 (22 ms) に伴うミスマッチ陰性電位 (MMN) を記録した。標準刺激は持続時間22 ms の3 つのトーンバースト群 ( 無音部は22 ms) によって構成された。標準刺激のISI を異なるブロックで操作した (66, 88, 110, 132, および198 ms)。もしTWI が各オンセットに対して形成されるなら,標準刺激のISI が長い条件でもMMN が惹起すると考えた。その結果,すべてのISI 条件でISI が縮む変化にのみMMN が出現し,伸びる変化には出現しなかった。これらの結果はTWI の持続時間はブロック間で可変であり,一方でブロック内では標準刺激のISI に基づいて固定されることを示している。これより短い聴覚記憶ではTWI が柔軟に駆動されていることが示唆された。
ISSN:0289-2405
2185-551X
DOI:10.5674/jjppp.1102si