片麻痺に合併した肩手症候群に対する鍼治療の効果

脳血管障害後遺症の片麻痺は, 歩行困難など日常生活動作(ADL)の障害を来たし, 社会的にも不利を招く合併症である. 片麻痺にはリハビリテーション(以下リハ)が必須であるが, 筋のこわばり(痙性)や疼痛, しびれなどの各種愁訴はリハの阻害因子であり, これらをいかに軽減, 除去するかがリハでは重要な課題である. 片麻痺患者の愁訴の中でも患側の肩痛の有訴率は40~70%であり, その原因としては肩手症候群, 肩関節周囲炎, 肩関節拘縮, 頸肩腕症候群などが複雑に絡み合っている事が多い1). 特に肩手症候群(Shoulder-Hand syndrome:以下SHS)は手の痩痛と浮腫を主徴とした難治...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 65; no. 3; pp. 128 - 136
Main Authors 吉田, 章, 安野, 富美子, 會川, 義寛, 坂井, 友実, 福田, 文彦, 對木, 麻里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 01.05.2002
日本温泉気候物理医学会
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ISSN0029-0343
1884-3697
DOI10.11390/onki1962.65.128

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Summary:脳血管障害後遺症の片麻痺は, 歩行困難など日常生活動作(ADL)の障害を来たし, 社会的にも不利を招く合併症である. 片麻痺にはリハビリテーション(以下リハ)が必須であるが, 筋のこわばり(痙性)や疼痛, しびれなどの各種愁訴はリハの阻害因子であり, これらをいかに軽減, 除去するかがリハでは重要な課題である. 片麻痺患者の愁訴の中でも患側の肩痛の有訴率は40~70%であり, その原因としては肩手症候群, 肩関節周囲炎, 肩関節拘縮, 頸肩腕症候群などが複雑に絡み合っている事が多い1). 特に肩手症候群(Shoulder-Hand syndrome:以下SHS)は手の痩痛と浮腫を主徴とした難治性の疼痛疾患であり, 西洋医学的にも十分に確立した治療法はないとされている2). 一般的なSHSの治療法は交感神経ブロック, ノイロトロピン等の薬物療法, 交代浴や低周波通電療法などの物理療法であるが, 治療により症状を悪化させる場合もあり, それぞれに適応する治療を慎重に行う必要があるとされている3). リハ領域における鍼治療は機能回復や保存療法の補助療法と位置づけられ, 片麻痺の痙性やしびれに効果のあることが丹沢らによって報告されている4,5,6).
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.65.128