局所進行膵癌に対する治療戦略

塩酸ゲムシタビン(GEM)の導入により膵癌診療は大きく変化した.局所進行膵癌(LAPC)における全身化学療法(CT)の意義を明らかにし,治療戦略を再考察した.対象は2001年4月から2005年3月までのLAPC 79例である.初回治療として化学放射線療法(CRT)群が34例に,GEMを含むCT群が45例に施行された.生存期間中央値はCRT群11.7ヶ月,CT群9.5ヶ月で両群に有意差は認めなかった(P=0.866).増悪形式は遠隔増悪がCRT群57%,CT群69%に認められた.GEM-CTはCRTとほぼ同等の遠隔成績が期待できる可能性があり,前向きな検証が必要である.遠隔転移を考慮してCTを先...

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Published in膵臓 Vol. 22; no. 1; pp. 36 - 42
Main Authors 古瀬, 純司, 鈴木, 英一郎, 仲地, 耕平, 石井, 浩, 清水, 怜, 吉野, 正曠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.02.2007
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.22.36

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Summary:塩酸ゲムシタビン(GEM)の導入により膵癌診療は大きく変化した.局所進行膵癌(LAPC)における全身化学療法(CT)の意義を明らかにし,治療戦略を再考察した.対象は2001年4月から2005年3月までのLAPC 79例である.初回治療として化学放射線療法(CRT)群が34例に,GEMを含むCT群が45例に施行された.生存期間中央値はCRT群11.7ヶ月,CT群9.5ヶ月で両群に有意差は認めなかった(P=0.866).増悪形式は遠隔増悪がCRT群57%,CT群69%に認められた.GEM-CTはCRTとほぼ同等の遠隔成績が期待できる可能性があり,前向きな検証が必要である.遠隔転移を考慮してCTを先行し,遠隔増悪のない「真の」LAPCのみにCRTを施行する,という治療戦略を今後の治療開発の一つとして考慮していく必要があると考えられる.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.22.36