術前化学療法が奏功した縦隔セミノーマの1切除例

血中HCGが高値を示した前縦隔悪性胚細胞腫瘍に対しcisplatin (CDDP) を中心とした術前化学療法が奏功した一例を経験した.症例は18歳, 男性.前胸部痛を主訴に入院.胸部X線写真, 胸部CT所見より前縦隔腫瘍を疑い, X線透視下経皮生検にて縦隔悪性胚細胞腫瘍 (精上皮腫) と診断された.腫瘍マーカーは血中および尿中HCGが高値を示した.術前化学療法としてCDDP (60mg/m2), Vindesine (3mg/m2), Etoposide (100mg/m2) を1クールとし, 術前に2クール施行した.腫瘍は著明に縮小し, 血中および尿中HCGはいずれも正常値を示した.胸骨正中...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 14; no. 5; pp. 612 - 617
Main Authors 源河, 圭一郎, 石川, 清司, 川畑, 勉, 国吉, 真行, 大田, 守雄
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2000
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.14.612

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Summary:血中HCGが高値を示した前縦隔悪性胚細胞腫瘍に対しcisplatin (CDDP) を中心とした術前化学療法が奏功した一例を経験した.症例は18歳, 男性.前胸部痛を主訴に入院.胸部X線写真, 胸部CT所見より前縦隔腫瘍を疑い, X線透視下経皮生検にて縦隔悪性胚細胞腫瘍 (精上皮腫) と診断された.腫瘍マーカーは血中および尿中HCGが高値を示した.術前化学療法としてCDDP (60mg/m2), Vindesine (3mg/m2), Etoposide (100mg/m2) を1クールとし, 術前に2クール施行した.腫瘍は著明に縮小し, 血中および尿中HCGはいずれも正常値を示した.胸骨正中切開により腫瘍を摘出し, 術後に化学療法を1クール追加した.前縦隔原発悪性胚細胞腫瘍の治療においては, 腫瘍マーカー値を指標にCDDPを中心とする術前多剤併用化学療法と腫瘍の根治的切除により, 良好な予後が期待できる.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.14.612