外科感染症分離菌とその薬剤感受性 2006年度分離菌を中心に
1982年7月から外科感染症分離菌に関する多施設共同研究を行ってきたが, ここでは2006年度 (2006年4月~2007年3月) の成績を中心にまとめた。1年間で調査対象となった症例は226例であり, このうちの170例 (75.2%) から451株の細菌と23株の真菌が分離された。一次感染症から227株, 術後感染症から224株の細菌が分離された。一次感染症では, 嫌気性グラム陰性菌の分離頻度が高く, 次いで好気性グラム陰性菌であり, 術後感染症では, 逆に好気性グラム陽性菌の分離頻度が高く, 次いで嫌気性グラム陰性菌であった。好気性グラム陽性菌については, 一次感染症からはEnteroc...
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Published in | The Japanese Journal of Antibiotics Vol. 61; no. 3; pp. 122 - 171 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
25.06.2008
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ISSN | 0368-2781 2186-5477 |
DOI | 10.11553/antibiotics1968b.61.122 |
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Summary: | 1982年7月から外科感染症分離菌に関する多施設共同研究を行ってきたが, ここでは2006年度 (2006年4月~2007年3月) の成績を中心にまとめた。1年間で調査対象となった症例は226例であり, このうちの170例 (75.2%) から451株の細菌と23株の真菌が分離された。一次感染症から227株, 術後感染症から224株の細菌が分離された。一次感染症では, 嫌気性グラム陰性菌の分離頻度が高く, 次いで好気性グラム陰性菌であり, 術後感染症では, 逆に好気性グラム陽性菌の分離頻度が高く, 次いで嫌気性グラム陰性菌であった。好気性グラム陽性菌については, 一次感染症からはEnterococcus faecalisやEntaococas aviumなどのEnterococcus spp.の分離頻度が高く, 術後感染症からはStaphylococcus aureusなどのStaphylococcus spp.の分離頻度が高かった。好気性グラム陰性菌では, 一次感染症からEschmchia coliの分離頻度が最も高く, 次いでKlebsiella pneumoniae, Enterobacter cloacaeやPseudomonas aeruginosaなどであり, 術後感染症からはP.aeruginosa, E.coli, E.cloacaeの分離頻度が高かった。嫌気性グラム陰性菌では, 一次感染症からは, Bilophila wadsworthiaの分離頻度が最も高く, 次いでBacteroides fragilisであり, 術後感染症からはB.fragilisの分離頻度が最も高く, 次いでBacteroides caccae, Bacteroides thetaiotaomicronおよびB.wadsworthiaであった。グリコペプチド系薬耐性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) や多剤耐性緑膿菌は認められなかった。Teicoplanin耐性のメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (MRCNS) が3株認められたが, これらは他の抗MRsA薬には良好な感受性を示した。Bacteroides spp.の多くは, 。セフェム系薬に耐性であった。また, 多くの薬剤に耐性を示す新しい菌種であるB. wadsworthiaは11.8%と高い分離頻度であった。 |
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ISSN: | 0368-2781 2186-5477 |
DOI: | 10.11553/antibiotics1968b.61.122 |