Stroke Care Unitにおける脳卒中の診断と治療 国立大学病院での現状と問題点

脳卒中による日本人の死亡率は, 1位の悪性新生物(癌)の次, 心臓病死とほぼ同様で例年2ないし3位を占め, 年間10数万人が死亡している. さらに高齢化社会の到来を迎え, 死亡しないまでも後遺症を残す脳卒中の発症率は高く, 年間約170万人を超えている. また寝たきり老人の最大原因(40%)を脳卒中が占めている. 出血, 虚血を問わず脳卒中は救急疾患であり, 発症早期の診断と治療が重要で, 先々の予後を決定するといっても過言ではない. しかるに, 日本の多くの救急病院や診療所で脳卒中は診療されているものの, 依然として脳卒中を専門とするチームが組織された脳卒中センターや脳卒中ケアユニット(St...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 31; no. 6; pp. 396 - 401
Main Authors 中嶌, 教夫, 永廣, 信治, 里見, 淳一郎, 宇野, 昌明, 佐藤, 浩一, 鈴江, 淳彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 30.11.2003
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.31.396

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Summary:脳卒中による日本人の死亡率は, 1位の悪性新生物(癌)の次, 心臓病死とほぼ同様で例年2ないし3位を占め, 年間10数万人が死亡している. さらに高齢化社会の到来を迎え, 死亡しないまでも後遺症を残す脳卒中の発症率は高く, 年間約170万人を超えている. また寝たきり老人の最大原因(40%)を脳卒中が占めている. 出血, 虚血を問わず脳卒中は救急疾患であり, 発症早期の診断と治療が重要で, 先々の予後を決定するといっても過言ではない. しかるに, 日本の多くの救急病院や診療所で脳卒中は診療されているものの, 依然として脳卒中を専門とするチームが組織された脳卒中センターや脳卒中ケアユニット(Stroke Care Unit, SCU)が機能している所は国内でも意外と少ない. ましてや国立大学医学部附属病院では救急疾患そのものがあまり扱われておらず, 脳卒中急性期医療がシステムとして完備されているところはきわめて少ない. 近年進歩が著しい脳虚血急性期のMRI診断や脳動脈瘤の塞栓術, 脳血管の血行再建術や血管内治療など高度の技術, 先進的医療を有する大学病院が, 最もそのような技術を必要とする脳卒中の急性期診療に携わらないのは誠に矛盾した医療システムと言わざるを得ない.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.31.396