pHシフトによる有機酸・微量亜鉛混合系廃液のアルミニウム凝集処理

金属と錯化合物を作る有機酸が混入した重金属廃液が大学等の研究機関から排出されることがしばしばある。水酸化アルミニウムによる共沈プロルセスは重金属廃液の処理に有効であるが, 廃液に有機酸が混入すると処理効率が低下する。本研究では, このような重金属廃液処理効率の向上をはかるために, 廃液のpHを10から7にシフトした直後にアルミニウムを添加する共沈処理システムを提案した。実験では亜鉛溶液にシュウ酸, マロン酸, コハク酸, グルタル酸などのジカルボン酸を含む液をモデル廃液とした。亜鉛イオンはpH7では水溶性であるが, pH10付近では不溶性の水酸化物をつくる。この水酸化物はpHが7に変化したとき...

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Published in水質汚濁研究 Vol. 11; no. 10; pp. 631 - 638,629
Main Authors 林, 良茂, 平井, 英二, 丁子, 哲治, 東田, 明弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本水環境学会 01.01.1988
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ISSN0387-2025
DOI10.2965/jswe1978.11.631

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Summary:金属と錯化合物を作る有機酸が混入した重金属廃液が大学等の研究機関から排出されることがしばしばある。水酸化アルミニウムによる共沈プロルセスは重金属廃液の処理に有効であるが, 廃液に有機酸が混入すると処理効率が低下する。本研究では, このような重金属廃液処理効率の向上をはかるために, 廃液のpHを10から7にシフトした直後にアルミニウムを添加する共沈処理システムを提案した。実験では亜鉛溶液にシュウ酸, マロン酸, コハク酸, グルタル酸などのジカルボン酸を含む液をモデル廃液とした。亜鉛イオンはpH7では水溶性であるが, pH10付近では不溶性の水酸化物をつくる。この水酸化物はpHが7に変化したときに溶解するまえに水酸化アルミニウムフロックに取り込まれ, 不溶性のまま安定に存在した。この現象を利用して効率のよい処理が可能であった。本処理システムは, 比較的錯化能の強いシュウ酸が共存した廃液に対しても有効であった。
ISSN:0387-2025
DOI:10.2965/jswe1978.11.631