重度の尖足と腕神経叢麻痺の合併のため, 著しいADL障害を呈した遺伝性筋萎縮症の1症例

今回我々は, 幼年期頃より徐々に進行した尖足変形を認め, 成人以降は, 車椅子の使用にて自立し社会生活を営んでいたものの, 新たに生じた腕神経叢麻痺と廃用により, 日常生活動作(ADL)の低下を生じた遺伝性筋萎縮症の症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 40歳, 女性, 右利き 診断:遺伝性筋萎縮症, 両側尖足, 右上肢腕神経叢麻痺 発育歴および社会歴:胎生期および周産期に特記すべき異常はない. 幼児期より粗大運動発達の遅延, および尖足を認め処女歩行は30ヵ月であった. また, 10~12歳頃より左上肢の運動障害を自覚するようになり, 16歳頃には茶碗を左手で持つこ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 42; no. 8; pp. 553 - 557
Main Authors 村岡, 香織, 赤星, 和人, 小川, 真司, 阿部, 玲音, 永田, 雅章, 永冨, 彰仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本リハビリテーション医学会 2005
日本リハビリテーション医学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0034-351X
1880-778X
DOI10.2490/jjrm1963.42.553

Cover

More Information
Summary:今回我々は, 幼年期頃より徐々に進行した尖足変形を認め, 成人以降は, 車椅子の使用にて自立し社会生活を営んでいたものの, 新たに生じた腕神経叢麻痺と廃用により, 日常生活動作(ADL)の低下を生じた遺伝性筋萎縮症の症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例 40歳, 女性, 右利き 診断:遺伝性筋萎縮症, 両側尖足, 右上肢腕神経叢麻痺 発育歴および社会歴:胎生期および周産期に特記すべき異常はない. 幼児期より粗大運動発達の遅延, および尖足を認め処女歩行は30ヵ月であった. また, 10~12歳頃より左上肢の運動障害を自覚するようになり, 16歳頃には茶碗を左手で持つことはできなくなった. 尖足歩行ながら高校生の間は歩いて通学していた. 高校卒業後は, 7年間社会人として事務職を勤め, 3輪の自転車通勤もしていたが, 25歳頃には屋外歩行が困難となり, 仕事も退職せざるを得なくなった. さらに, その後も徐々に歩行障害は進行し, 27歳頃には屋内歩行も困難となり, 「いざり移動」および車椅子での生活を余儀なくされたが, 自宅内でのADLは自立していた.
ISSN:0034-351X
1880-778X
DOI:10.2490/jjrm1963.42.553