結腸癌治癒切除後卵巣転移を来した1例
症例は84歳女性で54歳時(1965年)に直腸癌の診断にて腹会陰式直腸切断術が施行されていた. 1995年7月に人工肛門から出血を主訴に来院,精査の結果人工肛門より口側10cmに下行結腸癌を認め,同年8月に左側結腸切除(残存下行結腸,左側横行結腸切除)兼人工肛門造設術が施行された.その時の臨床病理学的所見は中分化腺癌, ss, ly1, v2, n4, P0, H0でcurBであった.術後外来フォローアップ中に血清CEA値で3.5ng/mlと上昇しており,腹部CTで小骨盤腔を占める巨大な嚢胞を形成した造影効果陽性の腫瘤を認めた.このため大腸癌の卵巣転移を疑い手術を施行した.手術所見では,約10...
Saved in:
| Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 7; pp. 1883 - 1886 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | English Japanese |
| Published |
日本臨床外科学会
1998
|
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
| DOI | 10.3919/jjsa.59.1883 |
Cover
| Summary: | 症例は84歳女性で54歳時(1965年)に直腸癌の診断にて腹会陰式直腸切断術が施行されていた. 1995年7月に人工肛門から出血を主訴に来院,精査の結果人工肛門より口側10cmに下行結腸癌を認め,同年8月に左側結腸切除(残存下行結腸,左側横行結腸切除)兼人工肛門造設術が施行された.その時の臨床病理学的所見は中分化腺癌, ss, ly1, v2, n4, P0, H0でcurBであった.術後外来フォローアップ中に血清CEA値で3.5ng/mlと上昇しており,腹部CTで小骨盤腔を占める巨大な嚢胞を形成した造影効果陽性の腫瘤を認めた.このため大腸癌の卵巣転移を疑い手術を施行した.手術所見では,約10cmの腫瘤が小骨盤腔の右後壁と回腸に癒着していたが,その他遠隔転移や異常所見は認めなかった.組織学的所見では,腫大した両側卵巣の内腔を占める前回の原発腫瘍と同一の中分化腺癌の組織型が得られ,大腸癌の異時性卵巣転移と考えられた.大腸癌治癒切除後の異時性卵巣転移症例は報告が少なく,非常に予後不良と考えられており,今回われわれは自験例について若干の文献的考察を加えて報告する. |
|---|---|
| ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
| DOI: | 10.3919/jjsa.59.1883 |