後天性心疾患における肺血管外水分量にかんする研究

Inv vivoで肺血管外水分量(pulmonary extravascular water volume, PEV)を測定することは, 1954年Chinard & Ennsにより示唆されて以来,基礎的検討がかさねられ臨床への応用が可能となつた.本論文は, Ramseyらの方法に準じて後天性心疾患におけるPEVを測定し,肺循環諸量,臨床経過および血液ガス値との関連について検討したものである.測定時の肺血管内圧とPEVとは,粗な正相関(r=0.48, P<0.02)を示すにすぎず,むしろPEVは左心不全の既往と関連があるという結果をえた.すなわち測定時の肺血管内圧は同じレベルにあ...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 59; no. 6; pp. 491 - 499
Main Author 野矢, 久美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1970
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.59.491

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Summary:Inv vivoで肺血管外水分量(pulmonary extravascular water volume, PEV)を測定することは, 1954年Chinard & Ennsにより示唆されて以来,基礎的検討がかさねられ臨床への応用が可能となつた.本論文は, Ramseyらの方法に準じて後天性心疾患におけるPEVを測定し,肺循環諸量,臨床経過および血液ガス値との関連について検討したものである.測定時の肺血管内圧とPEVとは,粗な正相関(r=0.48, P<0.02)を示すにすぎず,むしろPEVは左心不全の既往と関連があるという結果をえた.すなわち測定時の肺血管内圧は同じレベルにありながら,左心不全既往のある例は,既往のない例に比べてPEVは著明な増加を示した. PEVとPao2は有意の逆相関関係(r=-0.77, P<0.001)にあり, PEVの増加が慢性後天性心疾患における動脈血低酸素血症の成因に重要な意味をもつと考える.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.59.491