気候予測の不確実性を考慮した近未来の気候変化がアジア域の水稲生産量に及ぼす影響及びその適応策の評価

多数の大循環モデルの出力を用いて包括的に将来気候予測の不確実性を考慮し, 近未来までの気候変化がアジア域の水稲生産量に及ぼす影響及びその適応策の効果をリスク評価の手法を用いて定量的に評価した.まず植え付け日・品種の変更により, アジア域において生産量減少のリスクを87%程度軽減できることが示された. 次に水田の拡大は天水田から灌漑水田への転換に比べ, アジア域において大きなリスク軽減効果があることが示された. 国別にみても水田の拡大はアジアのほとんどの国で大きなリスク軽減効果があった. 一方, 灌漑水田への転換はインドやパキスタンなどの乾燥した国において, 大きなリスク軽減効果があることが分か...

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Published in地球環境シンポジウム講演論文集 Vol. 16; pp. 121 - 130
Main Authors 高橋, 潔, 原沢, 英夫, 増冨, 祐司, 松岡, 譲
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 土木学会 2008
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ISSN1884-8419
DOI10.2208/proge.16.121

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Summary:多数の大循環モデルの出力を用いて包括的に将来気候予測の不確実性を考慮し, 近未来までの気候変化がアジア域の水稲生産量に及ぼす影響及びその適応策の効果をリスク評価の手法を用いて定量的に評価した.まず植え付け日・品種の変更により, アジア域において生産量減少のリスクを87%程度軽減できることが示された. 次に水田の拡大は天水田から灌漑水田への転換に比べ, アジア域において大きなリスク軽減効果があることが示された. 国別にみても水田の拡大はアジアのほとんどの国で大きなリスク軽減効果があった. 一方, 灌漑水田への転換はインドやパキスタンなどの乾燥した国において, 大きなリスク軽減効果があることが分かった. これらの結果は適応策の実施を検討する際の有用な情報になると考えられる.
ISSN:1884-8419
DOI:10.2208/proge.16.121