症候性および無症候性ラクナ梗塞におけるプロトロンビン・フラグメント1+2 (F1+2) に関する検討

症候性および無症候性ラクナ梗塞例の血漿プロトロンビン・フラグメント1+2 (F1+2) 値を測定し, ラクナ梗塞に凝固亢進状態があるか否か, また症候の有無により凝固能に相違があるか否かを検討した.対象は有症候のラクナ梗塞61例 (急性期26例, 慢性期35例), 無症候性ラクナ梗塞34例および非梗塞67例である。ラクナ梗塞急性期群の収縮期血圧は対照群より有意に高値であった (p<0.05).背景因子として高血圧症の合併はラクナ梗塞急性期群および無症候性において対照群より有意に高頻度であった (それぞれp<0.01, p<0.05).血漿F1+2値はいずれの梗塞群も非梗塞群よ...

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Published in脳卒中 Vol. 19; no. 3; pp. 225 - 230
Main Authors 西村, 裕之, 杉田, 實, 立花, 久大, 小東, 竜二, 巌本, 靖道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1997
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.19.225

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Summary:症候性および無症候性ラクナ梗塞例の血漿プロトロンビン・フラグメント1+2 (F1+2) 値を測定し, ラクナ梗塞に凝固亢進状態があるか否か, また症候の有無により凝固能に相違があるか否かを検討した.対象は有症候のラクナ梗塞61例 (急性期26例, 慢性期35例), 無症候性ラクナ梗塞34例および非梗塞67例である。ラクナ梗塞急性期群の収縮期血圧は対照群より有意に高値であった (p<0.05).背景因子として高血圧症の合併はラクナ梗塞急性期群および無症候性において対照群より有意に高頻度であった (それぞれp<0.01, p<0.05).血漿F1+2値はいずれの梗塞群も非梗塞群より有意に高値であった (急性期 : p<0.05, 慢性期 : p<0.01, 無症候性 : p<0.01).以上より, ラクナ梗塞患者では凝固亢進状態にあり, そのことが脳梗塞発生に関連している可能性が示唆された.また凝血学的には, 無症候性ラクナ梗塞は症候性ラクナ梗塞と同様の病態にあることが示唆された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.19.225