Perivenous meningoencephalitisの1例
著者らは, 28才の女性で高熱,頭痛をもつて急性発症し,髄膜刺激症状,尿閉,意識障害などの症状をもつて,約17日間の経過で死亡した症例について剖検した.その結果, Pette-Spatzのperivenous parainfectious meningoencepharomyelitisの所見をえた1例を経験した.その病理所見を総括すると,肉眼的には脳の腫脹と軟脳膜の軽度混濁の他に著変はなく,組織学的には髄膜,脳,脊髄の全般にわたる静脈周囲性円形細胞浸潤がみられ,これは白質に強く脳幹下部で著明であつた.この他髄膜の炎症性変化,脱髄,Gliaの増殖がみられた.脱髄は脊髄上部で著明であり,延髄,橋...
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Published in | 日本内科学会雑誌 Vol. 62; no. 5; pp. 485 - 489 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本内科学会
1973
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5384 1883-2083 |
DOI | 10.2169/naika.62.485 |
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Summary: | 著者らは, 28才の女性で高熱,頭痛をもつて急性発症し,髄膜刺激症状,尿閉,意識障害などの症状をもつて,約17日間の経過で死亡した症例について剖検した.その結果, Pette-Spatzのperivenous parainfectious meningoencepharomyelitisの所見をえた1例を経験した.その病理所見を総括すると,肉眼的には脳の腫脹と軟脳膜の軽度混濁の他に著変はなく,組織学的には髄膜,脳,脊髄の全般にわたる静脈周囲性円形細胞浸潤がみられ,これは白質に強く脳幹下部で著明であつた.この他髄膜の炎症性変化,脱髄,Gliaの増殖がみられた.脱髄は脊髄上部で著明であり,延髄,橋,基底核,海馬回にも小脱髄巣がみられた.なお,血清補体結合反応は陰性,脳固定材料の電子顕微鏡的観察でもvirus感染を確証することは出来なかつた.この症例は髄膜炎症状を主として急激に経過し,剖検的にはvirus感染に伴う髄膜脳脊髄炎の病理像を呈した例として報告する. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.62.485 |